中央アフリカ共和国:戦闘再発で民間人が犠牲に――即決処刑など見せしめの恐怖も

2017年04月18日掲載

避難民キャンプで武装勢力による襲撃を受けた男性 3発の銃弾を受けたが、一命は取り留めた 避難民キャンプで武装勢力による襲撃を受けた男性
3発の銃弾を受けたが、一命は取り留めた

紛争が拡大・激化する中央アフリカ共和国。何百人もの人びとが殺害され、傷つけられている。多くが安全のための避難を強いられ、受けられる援助も無に等しい。現地で活動を続ける国境なき医師団(MSF)も恐怖にさらされる民間人を多数目撃している。

中央アフリカ共和国は2016年に総選挙を実施。局地的な暴力事件が散発的に続くなど、不安定ながらも一定の平穏にこぎ着けていた。2つの勢力「旧セレカ」と「アンチ・バラカ」との間の2014~15年の内戦以来、国の東半分は政府の統治から外れていたが、不安定な状況にあっても民間人の暮らしには幾ばくかの平常が訪れていた。ところがここ数ヵ月、旧セレカとアンチ・バラカは結束の緩い雑多な武装党派へと分裂、特に東部の領土の支配を巡り闘い合っている。勢力均衡が揺るがされ、縄張り争いにより民間人の苦難は続く。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、中央アフリカで暮らす460万人の半数が人道援助に頼って暮らす。2016年9月から2017年2月までの間に、新たに10万人が戦闘再発によって住まいを追われ、これにより国内避難民の数は40万人以上に、登録難民の数は46万人以上に押し上げられた。国連の人道対応計画に必要な資金はこれまでに5.4%しか確保されていない。

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支配者が変わるたびに苦しむ民間人

ブリア病院で診療にあたるケイティ・トレブル医師 ブリア病院で診療にあたるケイティ・トレブル医師

3月26日から南部のムボム州バクマとンザコの2地域で医療を行うチームのリーダーを務めてきたMSF活動副責任者のルネ・コルゴは、「MSFのスタッフは即決処刑と、人びとを怖がらせる目的で切り刻まれ置き去りにされた遺体も目にしています。民間人が傷つき、多くがブッシュに逃れ、手に入る限りのものでしのいでいます」と話す。

同国では、2014~2015年に衝突を繰り返した紛争当事者が、ここ数ヵ月の間に内部で対立し、分派が生まれ、特に中・東部(ワカ、オート・コト、バス・コト、ムボムの4州)で領土と資源の支配を巡って衝突している。各都市の支配者が変わることによって苦しむのはまず民間人だ。例えば、中東部ブリアの小児科病院でMSFが治療した暴力負傷者の数は11月以降168人に及んでいる。

銃創負った3歳女児も

当時ブリア病院でMSFの活動に携わっていたケイティ・トレブル医師は「この小児病院では、3月24~26日の週末も重傷者を24人ほど受け入れています。その中には銃創を負った3歳の女の子もいました。混乱状態でしたが、腸の飛び出た患者が運び込まれ、そちらに急いで応じなければならず、負傷した別の男性をやむなく置き去りにしたことは覚えています。機材も限られている中で、外科医たちが何とか命を救っていました」と話す。

また紛争は、過去2年、比較的情勢が落ち着いているとされてきた地域にも拡大している。バクマとンザコでは、対立する武装勢力が町と鉱業地区の覇権を争い、民間人に壊滅的な影響をもたらしている。

「世界でも最も深刻な部類だった人道危機がいっそう悪化しています。中央アフリカは2014年の紛争のピーク以降見られなかった水準の暴力的状態に陥りつつあるのです」
中央アフリカでMSFの地域代表を務めるエマニュエル・ランペールはそう訴える。

ここ何ヵ月、特定の社会集団を狙った武装勢力の攻撃が増え、それが報復と暴力の急速な過熱を引き起こしている。中央アフリカにおけるMSF活動責任者のカロリーヌ・デュカルムは、紛争の性質が変容してきたと言う。「傷ついた無力な民間人が戦闘に巻き込まれ、住まいを追われ、農地や家畜からも引き離されています。当事者は他の何をさておいてもまず、非戦闘員への攻撃をやめ、困窮する人びとに最低限の援助が届くようにしなければなりません」

MSFは1997年から中央アフリカで活動し、国内全域の最困窮者に緊急医療を届けている。2016年は(人口460万人の同国で)94万7000件の診療を行い、58万人のマラリアを治療し、49万回のワクチンを投与し、2万1000件余りの分娩を介助した。中央アフリカでの活動は民間からの寄付のみを財源としている。各地域における活動は以下の通り。

  • オート・コト州ブリア:運営する小児病院(51床)は2016年中に3600人を受け入れ、その90%が5歳未満児だった。11月から12月にかけて138人の、また、2017年1月から3月にかけて151人の暴力被害者を治療している。
  • ワカ州バンバリ:2016年は4万5000人の暴力被害者に医療を提供。ニーズの増加に応じて10月にこの活動の規模を拡大している。
  • ムボム州バクマ/ンザコ:診療の再無償化により複数のチームで住民に合計400件余りの診療を提供し、負傷者10人をバンガッスーの支援先病院(118床)に引き継いだ。同病院の拡張も進めている。
  • ナナ・グレビジ州ムブレ:緊急対応チームをムブレに派遣し、バンバリとブリアからの戦闘避難者を援助。戦闘で負傷した人を治療するとともにカガ・バンドロに送った。同チームはさらに現地の人びとが医療を受けられるようムブレ病院の対応能力を強化し、緊急予防接種も行っている。
  • ワカ州マルーム:バンバリとブリアの紛争を逃れて来た人びとに1万5515個の必須援助物資を配布し、子どもと妊婦合わせて5000人余りにワクチンを接種した。

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