ギニア: はしか大流行の陰にエボラ?――MSF、集団予防接種を実施

2017年04月11日掲載

予防接種が注射だった場合はぐっとガマン! 予防接種が注射だった場合はぐっとガマン!

アフリカ西部のギニアはしかの大規模な流行が続いている。特に首都のコナクリとンゼレコレ州での被害が大きい。2017年に入ってすでに3468件の感染例が報告され、14人が亡くなっている。国境なき医師団(MSF)は保健省と連携し、4月7日から首都コナクリで集団予防接種を開始した。

はしか流行の背景には、2014年~2015年にかけてのエボラ出血熱の大流行がある。医療資源がエボラ対応に集中されたこと、エボラ感染のリスクを下げるために予防接種が中止されたこと、住民が感染を恐れて保健医療施設へ行かなくなったことなどから、定期予防接種の規模が著しく縮小されたのだ。

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予防が簡単なはずの病気で

はしかは本来、安価なワクチンで簡単に予防できる。しかし、エボラの影響で大勢の乳幼児が予防接種を受けられなかった。保健省はエボラ終息後、集団予防接種を再開して接種率の向上に努めたが、流行を未然に防ぐまでには至らなかった。その結果、2月8日にはしかの流行宣言を出して警戒を呼びかける事態となっている。

ギニアでMSF活動責任者を務めるイブラヒム・ディアッロは「保健省が行った集団予防接種から1年足らずで流行が発生したことは、保健医療システムの弱さを示しています。病気の流行に効果的かつすばやく対応する能力が弱くなっているのです」と嘆く。

危機対応の強化に軸足が置かれた結果

子どもの予防接種を済ませることができて笑顔を見せるお母さん 子どもの予防接種を済ませることができて
笑顔を見せるお母さん

2014年~2015年のエボラ出血熱の流行では、1万1000人以上が命を落とした。影響が最も深刻だった3ヵ国(ギニア、シエラレオネ、リベリア)の保健医療システムも壊滅的な被害を受けた。世界保健機関(WHO)と主要な公衆衛生専門家は、流行地域となった各国の保健医療システムの再建と、保健医療に関する危機への対応能力を高める取り組みへの支援を重視するようになった。

国連のエボラ対応担当によると、エボラ流行期に3ヵ国への支援として支出された資金のうち、保健医療システムの復興への割り当て分は18%に過ぎないという。国外の出資者の関心は、エボラのような病気の流行を早期に感知する疫学的監視の改善に向けられてきた。

しかし、大規模なはしか流行に直面したことから、コナクリではMSF、ンゼレコレ州ではアリマという団体が集団予防接種への協力に乗り出した。WHOと国連児童基金(ユニセフ)もその他の地域への支援を表明し、話し合いが進められている。

「世界は"二度寝"している」

コナクリ郊外の村へ船で渡るMSFチーム コナクリ郊外の村へ船で渡るMSFチーム

MSF保健政策アナリストのミット・フィリップス医師は「エボラの"目覚まし"が鳴ったのに、世界は"二度寝"しているように感じます。今回のはしか流行が示すように、エボラ流行期から終息後に表明された資金援助、支援、人材養成の具体的な効果を、ギニアの人びとは実感できていません。ギニアではエボラ以前から保健医療の不足が明らかでした。機能的な保健医療システムの確立に向けて国際社会は協力を表明しているものの、現時点ではギニアは自力で変わらぬ課題と向き合っているのです」と指摘する。

はしか流行を抑えこむため、MSFは1チームあたり13人、計126チームをコナクリ市内164ヵ所の予防接種会場に配置した。生後半年から10歳までのすべての子どもが接種を受ける。また、軽症の小児患者を受け入れる診療所30軒と、重症患者が入院する中央医療施設も支援している。

MSFのエボラ対応
被害が深刻だったギニア、リベリア、シエラレオネに専門治療センターを設置し、治療、ケア、心理面のサポート、健康教育、疫学的監視、感染者と接触した人の追跡などの活動を行った。流行の最悪期には、計約4000人の現地スタッフと325人以上の外国人派遣スタッフを投入。受け入れた患者数は計1万376人で、そのうち5226人の感染が確認された。

MSFのギニアでの活動
MSFは1984年から活動を続け、コレラやはしかの流行に対応してきた。現在は保健省と協力してHIV/エイズ・結核関連の医療を提供し、これまでに約9000人のHIV/エイズ患者を受け入れている。エボラ対応としては、2016年9月に元患者への支援を終了した。

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