ナイジェリア: MSFが異例の大規模食糧援助、その理由とは?

2017年01月06日掲載

緊急の食糧援助を続けるMSF 緊急の食糧援助を続けるMSF

住民の大規模な避難が続くナイジェリア北部のボルノ州で、国境なき医師団(MSF)は州都マイドゥグリで過去3ヵ月にわたり、食糧810トンを配給した。これは2万6000世帯の2週間分に相当する。医療援助を中心に活動しているMSFがこれほど大規模な食糧援助を行うことは異例だ。

MSF活動責任者のフィリップ・ルヴァイヤンは「食糧援助がどうしても必要な人びとがいる一方で、他団体の参画がなく、MSFがその穴を埋めざるを得なかったのです」と説明する。

武装勢力とナイジェリア軍の紛争に起因する暴力と混乱で、マイドゥグリには約100万人が逃れてきている。

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「援助がほぼ皆無」――非公式キャンプの滞在者

MSFから配給された食糧を持ち帰る一家避難キャンプに滞在してもう2年が経つ MSFから配給された食糧を持ち帰る一家
避難キャンプに滞在してもう2年が経つ

人道援助の規模は数ヵ月で拡大しているものの、マイドゥグリ市内では大勢の避難者が現在も十分な食糧、水、医療を確保できていない。

特に非公式の避難キャンプの滞在者が弱い立場におかれている。相当数が避難しているが、受けられる援助は皆無に近いからだ。

ルヴァイヤンによると、多くの人は避難時に衣類程度しか持ち出せなかったという。「収入を得る手段はほとんどありません。しかも、食糧価格は1年で2倍以上に高騰しています。数年来の暴力と混乱で、人びとももうしのぎ切れなくなっています」

食糧不足と病気流行の悪循環

食糧不足と雨期が重なる時期は特に子どもたちにとって深刻な危機となる 食糧不足と雨期が重なる時期は
特に子どもたちにとって深刻な危機となる

MSFはマイドゥグリで大型医療施設と、重度栄養失調児の入院治療センターを各2軒運営している。また、毎日8万~10万リットルの水を搬入している。長期的な給水対策が講じられるまでの緊急手段だ。また、複数のキャンプでトイレの新設、既存のトイレの撤去、深井戸の修復にも携わっている。

食糧援助の必要性は3月以降にさらに深刻化するとみられる。2016年は不作で、農作物の端境期に入る3月ごろには備蓄分が底を尽くと予測されているからだ。6月以降の雨期には例年、マラリアなどの感染症や下痢が流行する。こうした病気に対しては、飢餓の緩和と十分な栄養で身体の抵抗力を高めることが最善策だ。

MSFのジャヴェド・アリ医師は「端境期と雨期の組み合わせは致命的です」と指摘する。栄養が不足した食事となり、免疫力が低下して感染症の増加につながるからだ。「特に子どもにとっては大変な状況で、合併症を伴う重度栄養失調に陥りやすくなってしまいます」

状況悪化を食い止める援助拡大を

2016年6月~10月は、マイドゥグリのMSF関連の医療施設だけでみても、この悪循環が何百人という患者の命を脅かした。8月には入院栄養治療センターの小児患者369人のうち75人が亡くなった。雨期が和らぎ、患者の間で合併症が減少した11月でも250人のうち21人が亡くなっている。

「2016年夏は重度の合併症を伴う栄養失調児が多く、手が回らないほどでした。2017年初は季節的な要因の影響が薄らいでいますが、緊急事態を脱したというわけではありません。国内外の機関による援助が相当に拡大されない限り、状況がさらに悪化する恐れがあります。数百万人が依然として紛争に追いやられたままなのです」

MSFはナイジェリア・ボルノ州内で合計11軒の常設医療施設を運営するほか、5軒に医療チームを定期派遣。援助機関の立ち入りが認められていない地域で暮らす人びとの食糧・水・医療不足を深く憂慮している。

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