国連の医薬品アクセスに関する報告書を評価――MSF必須医薬品キャンペーン

2016年10月06日掲載

国連の「医薬品アクセスに関するハイレベル・パネル」が2016年9月14日に発表した医療分野のイノベーションの推進と普及に関する報告書について、国境なき医師団(MSF)はその内容を評価するとともに、迅速に行動に移すことを要請する。

報告書では、治療法が確立されていない医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に対して、課題の解決につながる医薬品・ワクチン・診断ツールなどを開発できていない現状を詳述している。その上で、必要とするすべての人にとって入手可能な医療技術の開発のための勧告を行っている。

MSFは、報告書に記載された勧告が研究・開発、より高い透明性の確保、知的財産権の障壁に対処するための戦略につながるという点で歓迎する。また、イノベーションと技術の普及の観点が盛り込まれている点についても評価する。

その上で、国連事務総長、各国政府、関連業界に対し、公衆衛生上の緊急性が存在するとの認識をもって迅速に行動に移すことを要請する。MSFが発表した声明は下記の通り。

医療ニーズに応えられていない現状を変えるために――MSFの声明

MSFは、国連の「医薬品アクセスに関するハイレベル・パネル」が発表した報告書が画期的である点を評価します。報告書では、MSFが長年にわたって直面している課題について、その解消につながる実行可能な方策を勧告しています。

MSFが直面している課題とは、活動地で必要としている医薬品・ワクチン・診断ツールなどが存在しなかったり、もしくは価格が高すぎて入手できなかったりすることを指します。報告書は世界的な視野でまとめられており、すべての国において、健康で充実した人生を送る上で必要な医療ツールの入手に課題があるとの認識が示されています。

MSFは、各国政府や製薬業界をはじめとした関連業界に対し、報告書に記載された勧告を早急に実施することを求めます。また、製薬企業の研究・開発費や価格設定について、より高い透明性を担保することも求めます。

これらの施策を実行することは、資金調達と研究・開発費や医薬品の価格設定との連動を断ち切り、障壁を最小化することにつながります。知的財産権に基づいた独占は特に、医薬品とワクチンの普及を阻む障壁となっています。

報告書は国連および加盟国にとっての行動促進策として活用されることが期待されます。9月に開催された国連総会では、感染症の薬剤耐性に対する世界的な解決策の策定が協議されました。各国政府には、医療のイノベーションと、医療技術の普及に向けた政策やインセンティブを実施することが求められます。

薬剤耐性問題にとどまらず、医療全般の研究・開発のあり方に対し、意欲的かつ幅広い改革を実行し、基本的な医療ニーズに応えられていない現状を変えていかなければなりません。

ロヒト・マルパニ/MSF必須医薬品キャンペーン政策分析ディレクター

参考:MSFの報告書『LIVES ON THE EDGE』(英語版)

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