ニジェール:紛争を逃れ周辺国からディファ県へ――増え続ける避難者数

2016年09月15日掲載

MSFから受け取った救援物資を運ぶ避難者たち MSFから受け取った救援物資を運ぶ避難者たち

ナイジェリアチャドからニジェール避難してくる人びとが相次いでいる。数日間で200世帯以上がディファ県東部のトゥムルに到着した。大半は子どもと女性で、武装勢力「ボコ・ハラム」の襲撃や政府軍による拘束を避けるため、4~5日がかりで夜間に徒歩移動をしてきたと話している。

トゥムルの住民は避難者の受け入れに好意的だ。彼らの多くももともとは避難者だったことから、新たに到着した人びとと連帯する精神をみせ、食べ物や水などを分け合っている。こうした地元の援助がありながらも、200世帯のうち少なくとも77世帯は食べ物や仮設住居用の資材が手に入らず、非常に困難な状況に直面している。

国境なき医師団(MSF)はこの世帯に、日用品、毛布、蚊帳、衛生用品を詰めた救援物資キットを配布した。

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混乱の隙に村を脱出、4日間歩き続けて

救援物資キットの配布を受けたジュマイ・チャイマンさん(28歳)は、ナイジェリア、チャド、ニジェールの国境が交差するチャド湖半の村から避難してきた。「治安が悪くなったので、だいぶ前からあの土地を離れるつもりでいたのですが、どこにボコ・ハラムがいるか分からず、出るに出られませんでした」と振り返る。

ある日、村の近くでボコ・ハラムの内部抗争による戦闘が始まった。その混乱の隙に、夜8時、夫、子ども5人、夫の両親の一家全員で村を脱出。4日間歩き続けてトゥルムにたどり着いた。ところが、夫は到着直後に、何らかの容疑をかけられて政府軍に逮捕された。「今どこにいるのかもわかりません……」

疲労とストレスからくる症状多数

MSFが支援している診療所には、連日、疲労とストレスが原因とみられる症状の患者が多く来院している。毎日何時間も歩いたことや、襲撃を受けたり逮捕されたりするのではないかという恐怖がつきまとっているためだ。

トゥルムへの新規到着は今も続いているが、多くの援助団体は2016年6月にボッソ地区で襲撃事件が起きたことを機に現地から退避している。それでも給水所や診療所は今も機能している。診療所では全住民が無償で医療を受けられる。

食糧確保が最大の課題

避難者・住民ともに最大の課題は食糧確保だ 避難者・住民ともに最大の課題は食糧確保だ

一方、新たに到着した人びとにとって最大の課題は食糧だ。最低限の食品は市場にあるが、避難者は買えるだけのお金を持っていない。MSFは5歳未満の子どもがいる世帯に栄養補助食の配布も行っている。

ニジェールでMSFの副活動責任者を務めるユスフ・デムドレは「国境地帯で起きている危機的事態を考えると、トゥムルが今後も人びとの受け入れを続けられるとは思えません。すでに、新たな避難者グループが非常に不安定な状況に置かれています。自給自足のための農作業もできない状況で、食糧配給に頼るしかありません。加えて、現地は季節性マラリアの流行期間の真っ最中です。ディファ県では複数の人道援助団体が活動していますが、それでもまだ足りていません」と話す。

MSFが救援物資キットを配布している最中に、ジュマイ・チャイマンの隣人がたずねてきた。「みなさんは、とても人道的で尊いことをなさっていると思います。私たちはもっと早い時期に避難してきたために、現在は援助は受けられませんが……それは正しい判断だと思います。到着したばかりのジュマイと子どもたちがどれだけ大変かみんなわかっていますから」

ニジェールのディファ県では、MSFは2014年12月から活動している。保健省とともにディファ市内の中核母子保健・産科病院、ンギグミの地区病院、ディファ、ンギグミ、ボッソの各地区病院で活動している。さらに、数千人の避難者が滞在しているアッサガ、ガリン・ワンザン、キンチャンディでも援助活動を行っている。ディファ県内では、2015年だけで14万2000件以上の診療を行った。

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