コンゴ民主共和国:太陽光に照らされて――MSFが活動を終えるとき

2016年09月08日掲載

太陽光パネルを設置するスタッフ

国境なき医師団(MSF)は、コンゴ民主共和国のタンガニーカ州南部にあるシャムワナでの活動を終了し、2016年8月12日に現地保健省に移譲した。シャムワナMSFは10年にわたってシャムワナで活動し、保健省管轄の病院や周辺地域の診療所7軒を支援していた。提供は1次・2次医療で、マラリア、下痢、栄養治療、呼吸器感染、HIV/エイズ、結核、外科、産科、心理ケア を備えていた。

MSFは、地域の医療ニーズが現地の行政や諸機関・団体でまかなえると判断した場合には、活動を速やかに引き継いで撤収する。今回もその基準に沿った判断だったが、1つだけいつもと異なる点があった。

記事を全文読む

太陽光発電を導入しよう!

設置を完了した病院

従来の業務を引き継ぐだけでなく、太陽光発電システムの新規導入も"引き継ぎ"に含めたのだ。シャムワナは電気供給エリアから遠く離れており、しかも雨期には道路が水没して通行不能になる。太陽光発電は電気を恒常的に利用するための唯一の解決策だった。

MSFが4月に活動を終了すると発表した際、多くのスタッフは、病院の規模が大幅に縮小されるか、もしくは閉鎖されることになるだろうと予想した。しかし、シャムワナ病院長であるダディ・エブワス・ムパンダ医師や保健省の職員の献身的な医療活動に共感したMSFは、保健省とともに、持続可能性が高い医療システムをどうすれば残していけるか検討を始めた。

最大の課題は、ワクチンなどの品質を保つ低温輸送システム(コールドチェーン)を維持するための電力の確保だった。検討を始めてからすぐ、現行システムでは持続できないとの結論に達した。電力供給を火力発電に頼り、毎月約1000リットルのディーゼル油を搬入していたからだ。

一方、太陽光はいつでも利用可能で信頼性も高い。そこで、扱いやすい太陽光発電システムを設置することにした。時間との闘いだったが、最終的に夜でも一部の照明と医療機器用の電力を確保できるようになった。

医療レベルの酸素供給も確保

最も重要なことは、酸素濃縮器1台を毎日動かせるようになったことだ。システム設計上の最大の課題は、医療分野の水準に耐えるレベルまで濃縮した酸素を生成することだった。濃縮酸素は呼吸器疾患の患者、新生児、手術中の患者などに不可欠だが、濃縮器1台を動かし続けるだけでも、大型太陽光発電パネルと電池が12組必要となる。それ以外の医療機器の電源としてさらに4組が必要で、大がかりな設置工事になった

太陽光発電の最大発電量は4 kWほど。電動ポンプシステムへの供給を維持し、太陽光発電による電気のみで稼動する冷蔵庫も設置した。

ダディ医師は引き継ぎの記念式典で「新しい太陽光発電システムによって、健康上の危機に見舞われやすいこの地域で、質の高い医療を提供し続ける難題が解決できました。今後も困難なことはあるでしょうが、最も重要な部分はそろっています」と話した。

保健省とシャムワナの人びとに、力と勇気と多くの太陽光が満ち溢れますように!

関連情報

  • Facebookでシェアする
  • Twitterでつぶやく
  • LINEで送る