イエメン: MSFの支援病院にまた空爆、11人が犠牲に

2016年08月16日掲載

空爆の被害状況を調べる病院スタッフ

紛争が続いているイエメン北部のハッジャ県で国境なき医師団(MSF)が支援しているアブス病院が、2016年8月15日午後3時45分に空爆され、少なくとも11人が命を奪われた。負傷者も19人に上っている。

犠牲者のうち9人は空爆の直撃を受けたとみられ、MSFスタッフも1人含まれている。さらに患者2人が近隣のアル・ジュムフリ病院に移送される途中で亡くなった。また、負傷者のうち5人は入院治療を受けている。

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病院の位置はGPSで共有

この空爆で病院施設が損壊し、患者とスタッフは避難を余儀なくされた。病院のGPS座標はサウジアラビア主導の連合軍を含めた紛争の全当事者と何度も共有されているため、当事者は今回の空爆地点に病院があることを把握していたとみられる。

イエメンでMSFの緊急対応ユニットのオペレーション・マネージャーを務めるテレサ・サンクリストバルは「1年以内でMSF関連の医療施設が4度も攻撃されました。またしても大勢の患者とスタッフがいる病院が狙われたのです。この国の紛争では、医療機関や患者に対する配慮がまったくみられません」と憤る。

国連決議に見合う行動を!

さらに、サンクリストバルは「医療機関への攻撃を『戦争犯罪』だと非難した国連決議や、ハイレベル会合で国際人道法を遵守するよう宣言が出されたにもかかわらず、イエメンの紛争当時者には効果がないようです。国際社会の行動が伴わなければ、こうした意思表示が犠牲者に無意味なものになってしまいます。病院への攻撃は、意図的かどうかにかかわらず、決して許されるものではありません」と指摘する。

イエメンでは、通院の途中に殺害されたり傷つけられたりする状況が続き、民間人が深刻な打撃を受けている。「亡くなった患者とスタッフのご遺族に心よりお悔やみを申し上げます。同時に、ご遺族やMSFをこのような状況にした紛争当事者に怒りを覚えます。病院内で安全が守られると誰もが信じていたはずなのです」

MSFは紛争の全当事者、特に今回の空爆に責任を負っているサウジ主導の連合軍に対し、再発防止を徹底することを求める。

MSFはアブス病院で、2015年7月から支援を続けていた。これまでに4611人が治療を受けている。敷地内には、救急処置室(14床)、産科、外科を備えていた。最近は負傷者の来院が増えており、その大半は武力衝突と空爆の被害者だった。

空爆された当時、院内には外科に患者23人、産科に患者25人(新生児13人を含む)、小児科に患者12人がいた。また、紛争被害を受けた負傷者数人が入院したばかりだった。

MSFはイエメン国内で計11軒の病院と診療所を運営している。また、8県(アデン、アッダリ、タイズ、サアダ、アムラン、ハッジャ、イッブ、サヌア)で計18軒の病院と診療所を支援している。

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