シリア:紛争激化のイドリブ県で国境なき医師団(MSF)支援先病院が爆撃により損壊

2016年08月09日掲載

空爆により建物のほとんどが損壊 空爆により建物のほとんどが損壊

シリア北部のイドリブ県ミリスで、7万人を対象に医療を提供していた国境なき医師団(MSF)の支援先病院が8月6日の空爆で破壊された。現地時間午後2時ごろ、病院を直撃した2発と付近に着弾した2発により子ども5人・女性2人を含む9人と、スタッフ4人が死亡。そのほかにスタッフ6人が負傷している。この爆撃で施設が著しく損なわれ、病院は現在閉鎖中。イドリブ県では紛争が過熱状態となっている。

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患者の多くが女性と子ども

空爆によって、手術室、集中治療施設、小児科など、建物の大部分が破壊され、医療機器、救急車、発電機も全体の約80%が損失。ミリスとその周辺には北部の戦闘地域から相当数の避難者が身を寄せており、同病院は小児専門の中核病院として約7万人に医療を提供していた。救急処置・診療を受けた患者は1日平均250人にのぼり、その多くが女性と子どもだった。MSFは2014年前半に同病院への物資供給と専門的な助言による支援を開始し、その後、病院スタッフが業務を継続できるよう財政援助も行ってきた。

シリア北西部の活動でMSF医療マネージャーを務めるシルヴィア・デラトマシナ医師は、また新たに病院が直接爆撃の対象となったことに憤りを覚えるという。「病院がたびたび砲爆撃を受ける戦争の最中でも、業務を続けるシリア人医療従事者の勇気と献身に敬意を払わなくてはいけません。MSFも彼らの貴重な救命行為を支えなければと強く感じています。それが狙われたものであろうと、民間人地区への無差別攻撃によるものであろうと、病院が1軒破壊されるたびに、シリアの人びとは医療という命綱をまた1つ奪われるのです。戦闘の前線で負傷者のケアを行う病院も、妊娠合併症の女性に対応する病院もありますが、どの病院も人命を救うために欠かせません」

全ての紛争当事者に状況改善を強く要求

爆撃後の病院内部 爆撃後の病院内部

イドリブ県では今回の爆撃に限らず、多数死傷者の事例が再び増加している。2016年前半も、MSFが支援する病院の中で最大規模の病院2軒が、合計7件の多数患者受け入れを報告。最終的な死傷者の内訳は負傷294人、死亡33人だった。またこの2軒の病院は、7月に限っても合計9件の一斉受け入れで466人の負傷者と37人の死亡者に対応している。

デラトマシナ医師は「国連安全保障理事会常任理事5ヵ国のうちこの紛争の当事者である4ヵ国を含め、シリア内戦の進行に影響力を有する全ての当事者に、戦闘でこれ以上病院が巻き込まれることのないよう、状況改善を改めて強く求めます。人道・医療援助従事者として、MSFはシリア国内の医療を後押しするために引き続き最善を尽くしますが、病院への攻撃は早急に制止されなければなりません」と話す。

MSFはシリア北部で医療施設6軒を運営するほか、直接現地入りのできない地域の約150軒を後援。医療物資の補給、病院スタッフが医療業務を継続できるための最低限の給与の肩代わり、病院の発電用燃料の供給、損壊した施設の再建費用の助成、医学的・専門的な助言などで支えている。この包括的な支援を行っている対象は国内約70軒の施設で、その他の約80軒には、多数死傷者の受け入れ時など緊急の必要が生じた際に不定期で医療物資の補給や専門的な助言を行っている。

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