タンザニア:ブルンジ難民の増加続き、キャンプが限界に

2016年06月13日掲載

今も週1000人ペースで難民が到着する援助の一環として食事が用意される 今も週1000人ペースで難民が到着する
援助の一環として食事が用意される

タンザニアブルンジから難民が押し寄せる事態が1年以上も続いており、難民キャンプの滞在者数は14万人にも上っている。今も週平均で約1000人が到着し、3ヵ所のキャンプのうち、ニャルグスとンドゥタは既に飽和状態だ。残るムテンデリで、新規到着とニャルグスからの移送を受け入れているが、飽和に達するのも時間の問題だ。

国境なき医師団(MSF)はキャンプ内に診療所を設置し、マラリア感染や避難生活で体調を崩した人びとへの治療を続けている。

MSFは2015年5月から、ブルンジ人難民の危機に対応している。ニャルグスでは現在、3ヵ所でマラリア診療所を運営している。ンドゥタでは唯一の医療機関として、入院・外来診療を行う総合病院(110床)を建設したほか、新たに到着した人の健康スクリーニングと心理ケアのための小規模施設3軒を運営している。

また、ンドゥンタの建設時にはテント3500張を提供。最近では1日あたり25万リットルの給水も行っている。ムテンデリでの給水量は1日約42万8000リットルに上る。さらに、健康調査や蚊帳の配布(7万3000張)も行っている。

記事を全文読む

援助拡充の努力なく

避難中の負傷はどうしようもなく、難民キャンプでようやくMSFのもとへ 避難中の負傷はどうしようもなく、
難民キャンプでようやくMSFのもとへ

タンザニアでMSFの活動責任者を務めるダナ・クラウゼは「このままでは9月までに全キャンプが限界に達するでしょう」と懸念する。ブルンジの混乱が再燃して難民が急増しても対応する余力はなく、他に態勢の整った場所もない。しかも、ムテンデリは既に給水量が国際基準を下回っている。

ブルンジから国外へ逃れた人びとは約26万人とみられる。タンザニアのほか、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国が主な避難先だ。避難の途上で暴力を目撃したり被害にあったりした人も多い。

しかし、援助活動の財務支援はとぼしい。クラウゼは「1年が経った今も人道援助が足りません。援助を拡充するための十分な努力がなされてこなかったのです」と指摘する。

難民キャンプは過密状態だ。保健医療施設は、多数のマラリア患者に加え、劣悪な衛生状態が原因で呼吸器疾患や下痢を繰り返す患者が多く、対応が追い付かなくなっている。

生活激変、強いショックを受けた人びとの心に寄り添う

さらに、暴力に巻き込まれて心の傷を負った人びとへの心理ケアも必要だ。MSFはニャルグスとンドゥタで心理ケアを提供し、2016年はすでに1万3795件の個別セッションと1408件のグループ・セッションを行った。MSFの心理療法士によると、心理ケア相談を受ける難民の95%が、タンザニア入国前に著しい心的外傷をもたらす出来事を経験し、抑うつ、不安、睡眠障害の併発に苦しんでいるという。

ンドゥタで活動しているMSFのジョージ・ハンター心理療法士は「人びとは何もかも失い、深い心の傷に苦しみ、さまざまな感情的困難を抱えています。半年前まで都市部で普通の暮らしを送り、子どもたちを学校に通わせていました。そんな生活が一変し、ひどい暴力を目にし、家族や友人を失ったのです。今は持てるものもなく、難民キャンプのテントで過ごしています」と状況を説明する。

ンドゥタに滞在しているジョゼフさんは「到着したころは、残したものがあれこれと思い浮かび、眠れませんでした。私の人生はもう終わりだと……。今も不安で落ち着きません。先の見通しもつきません。通っていた大学をきちんと卒業するつもりでした。こんなところにいては、それも夢と消えそうです」と肩を落とす。

マラリア対策は必須、蚊の駆除も徹底

両キャンプのあるキゴマ州は、国内でも年間のマラリア患者数の割合が特に高い。妊婦や子どもはとりわけ重症化しやすく、適切な治療が受けられなければ、命も危うい。

ニャルグスとンドゥタの難民キャンプでは、MSF診療所を訪れる患者の約半数にマラリアの症状がみられる。MSFがこの2ヵ所で治療したマラリア患者は、2016年だけでも合計5万8000に上る。

MSFは1月にマラリアへの対応を拡大した。雨期が深まり、症例が増え始める時期だ。ンドゥタでは、小規模医療施設3軒と病院の外来科で治療を行い、重症患者は入院させている。ニャルグスではマラリア専門として設置された診療所2軒で治療している。

クラウゼは「直近の数週間で症例数は微減しましたが、再び増加に転じる恐れもあります。雨期は少なくとも6月末まで続くとみられ、既にじめじめして過密状態の環境がさらに悪化し、蚊の温床となるでしょう。マラリアの唯一の対策は、予防の徹底と治療をできるだけ早く継続的に改善することです」と指摘する。

ブルンジ国内での緊急医療

MSFは、ブルンジでは20年以上、活動を続けている。首都ブジュンブラでは、外傷の救急患者への対応を続けている。MSFの外傷センターはベッド86床、救急処置室1室、手術室2室、集中治療室1室を備える。

2015年5月には大統領選に関連する政情不安を受け、首都ブジュンブラでの活動を拡充した。同市で負傷者と救急患者を治療する数少ない国際団体の1つとなっている。ブルンジにおける活動は個人の寄付だけを財源とし、いずれの国の政府からも資金を受け入れていない。

関連情報