アンゴラ/コンゴ民主共和国:黄熱病が流行――予防接種を急げ!

2016年06月06日掲載

黄熱病を媒介する蚊の駆除の様子 黄熱病を媒介する蚊の駆除の様子

黄熱病――日本では"野口英世が研究を手がけていた病気"と記憶されているかもしれない。半世紀以上前にワクチンが開発されたが、黄熱病はいまも、熱帯アフリカや中南米で人びとを苦しめている。

国境なき医師団(MSF)は、コンゴ民主共和国のコンゴ中央州マタディ市で黄熱病の予防接種を展開している。また、州内や首都キンシャサで、患者の治療や病気を媒介する蚊の駆除も行っている。隣国のアンゴラも黄熱病の流行地域となっており、保健省の治療活動を支援している。

黄熱病は、蚊が媒介する急性ウイルス性出血性疾患。病名の"黄"は、一部の患者に発現する黄だんが由来。ネッタイシマカは黄熱病の主要媒介生物であるほか、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱も媒介する。黄熱病には治療薬がなく、ワクチン接種が最も効果的な予防法となっている。症状は熱、頭痛、筋肉痛で、重症化すると高熱や内出血を伴うこともある。WHOによると、重症患者の50%が2週間以内に死に至るという。

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アンゴラで発生、コンゴへと拡大か

黄熱病の予防接種を受ける住民たち 黄熱病の予防接種を受ける住民たち

今回の黄熱病の流行は、2015年12月のアンゴラから始まり、コンゴへと拡大したとみられている。コンゴで数十件の確定症例が報告されたことを受け、MSFは両国にチームを派遣。保健省などと連携して流行抑止に取り組んでいる。

状況は重大かつ深刻だが、世界保健機関(WHO)は2016年5月19日時点で、今回の流行を「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」とはみなしていない。

流行抑止には、効果の高い黄熱病ワクチンの投入が鍵となるため、限られた供給量のワクチンを有効利用することが求められる。

コンゴで2月以降に感染が確認された患者48人の大半は、アンゴラから入国したことがわかっている。一方、コンゴ国内で発生したとみられる症例が、キンシャサ、コンゴ中央州、クワンゴ州で各1件ずつ報告されている。

病気を運ぶ蚊の駆除を徹底

ごみや容器にたまった水は蚊の発生源になるため徹底的に除去していく ごみや容器にたまった水は蚊の発生源になるため
徹底的に除去していく

MSFは5月26日から、保健省の集団予防接種活動の一環として、コンゴ中央州の州都マタディの住民35万人を主な対象とした予防接種を開始した(キンシャサ市内の2保健区域と、コンゴ中央州内の9保健区域もこの活動の対象に含まれている)。

さらに、蚊の駆除でも保健省に協力している。黄熱病はネッタイシマカによって媒介されるため、家屋・学校・市場・病院などの内外で、殺虫剤の噴霧やくん煙、ごみや容器にたまった水の除去など蚊の成虫・幼虫を駆除する活動を行っている。さらに、患者の治療、保健医療施設への医療物資の提供、医療スタッフへの黄熱病治療の研修も行っている。

MSF緊急対応コーディネーターのエリザベッタ・マリア・ファガは「黄熱病拡大のリスクを徹底的に取り除くには、警戒と準備が肝心です。黄熱病には特定の治療薬がありません。的を絞ったワクチン接種と蚊の駆除による予防が、今のところは最も効果的です」

患者の半数以上が首都に集中

MSFは2月中旬から、保健省の対策を支援している。首都ルアンダのカパランガ病院をはじめ、ウアンボ、ウイラ、ベンゲラの3州では治療にも直接携わり、5月末までに299人に対応した。

アンゴラで計70人が複数のチームにわかれ、患者の治療や地域の医療スタッフの研修を提供。国の黄熱病対策や予防接種の準備も支援している。アンゴラでは、感染疑い例が2420人(そのうち298人が死亡)、感染確定例は736人に上っている。感染確定例のうち459件が首都に集中しており、保健省が予防接種を進めている。

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