ニジェール: 髄膜炎、はしか、コレラ......重なる流行にMSFは?

2016年06月02日掲載

MSFからはしかの予防接種を受ける子ども MSFからはしかの予防接種を受ける子ども

アフリカのサハラ砂漠南縁地帯に位置するニジェールで、髄膜炎はしかが同時に流行している。さらに、南隣のナイジェリアではコレラが発生し、ニジェールでも症例が報告される事態となっている。

国境なき医師団(MSF)は保健省を支援して髄膜炎とはしかに対応する一方、コレラの感染制御にも取り組んでいる。こうした病気が大規模に流行している一帯は、地域で起きている紛争から逃れてきた大勢の難民・国内避難民の避難場所となっている。

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大規模な予防接種で髄膜炎減少へ

集団予防接種で順番を待つ子どもたち 集団予防接種で順番を待つ子どもたち

ニジェール西部では2016年1月以降だけでも1409 例のC型髄膜炎が報告され、94人が亡くなった。髄膜炎流行が落ち着き始めた3月中旬、入れ替わるようにはしかが発生。これまでに1921人が感染し、5人が亡くなった。MSFは患者の治療と予防接種を実施している。

MSFの緊急対応コーディネーターを務めるオーガスティン・ンゴイは「病気の流行を予防するために優先すべき事項は、国内避難民が現地住民と接触する地域で予防接種を行うことです」と話す。MSFと保健省はすでに髄膜炎の集団予防接種を実施し、合計25万4000人に接種して4月に完了した。その後、髄膜炎の症例数は減速に転じた。

隣国から"はしか"が越境

MSFは現在、保健省と共同で、西隣のマリとの国境地帯に位置するティラベリ県で、はしか の予防接種を実施している。この一帯には、マリ国内の紛争から逃れて来た難民が多く滞在している。県内のマンゲゼでは1万5000人に予防接種を実施。続いて、マンゲゼから東に250km離れたアバラで、3万5000人に予防接種を実施することを計画している。

ニジェール東部のディファ県でも、はしかが報告されている。ディファには、武装勢力「イスラム国 西アフリカ州 」(通称「ボコ・ハラム」)の暴力から避難してきた約 24万人が滞在している。

MSFと保健省チームはここで、はしかとコレラの予防接種を実施している。ナイジェリアからコレラが国境を越えてきたことが明らかになってからは、大勢のナイジェリア人難民が滞在しているディファが、コレラの「入国地点」となってしまう事態が懸念されている。

そこで、ディファでは3月下旬の3日間で、約10万5000人に予防接種を実施した。MSFの医療コーディネーターを務めるジェフ・ムトンボ医師は「予防接種が最善の策です。この地域は治安が悪く、病気が大規模に流行したり、流行が予測されていたりしても、住民との接触が難しくなる場合があるためです」話す。

現地医療者の研修・医療機器の寄贈も

MSFは保健・医療当局の支援の一環で、はしかと髄膜炎の新規症例への対策をまとめた。流行の推移を把握するために疫学的監視を強め、治療支援も提供している。「病気の感染拡大を食い止めるためには、新規症例をすぐに発見する必要があります。そのためには情報収集と共有が不可欠で、患者もできるだけ早い段階で治療する必要があります」 とンゴイは話す。

さらに、国内8県で検査技師80人に研修を行った上で、医療機器を寄贈して髄膜炎の監視における検査室の対応力を高めた。また、医療機関の院長148人と医療スタッフ51人を対象に、治療の訓練や医療機器の提供を行った。

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