コンゴ民主共和国:はしか終息で終わりではない――今すぐ必要な対策とは?

2016年02月24日掲載

MSFのもとで栄養失調の治療を受ける子ども MSFのもとで栄養失調の治療を受ける子ども

コンゴ民主共和国・タンガニーカ州では、はしかの流行が終息しつつあるなか、マラリア栄養失調の対策が再び重要になっている。国境なき医師団(MSF)は保健省との連携を維持し、マノノ保健区の支援を続けている。

主な活動は、救急搬送体制の構築、地域間連携と検診の強化、集中治療室の設置など。同様のプログラムをカバロでも進めている。

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はしか流行で地域の栄養危機が悪化

はしかの流行は終息しつつあるが…… はしかの流行は終息しつつあるが……

MSFの緊急対応コーディネーターを務めるナルシス・ウェガは「重度急性栄養失調の治療用の物資が常に不足している地域で、はしかの流行が終息した後の状況をそのままにしておくことは、栄養失調の子どもを見捨てることを意味します。特に、はしかの治療を受けていた子どもたちは深刻です」と指摘する。実際、マノノ保健区の通院栄養治療センターで治療を受けている子ども2345人の半数以上は、最近、はしかに感染していた。

ウェガは「はしかは地域の諸事情とあいまって、栄養危機をさらに悪化させました。例えば、鉱石の相場が半値に下落し、鉱山地帯は苦境にあります。一部の村落は周囲と民族構成が異なるために孤立しています。食べ物がキャッサバしかない、離乳食の時期でも母乳だけで育てる慣習が根強いなど、バランスを欠いた食生活が原因で栄養状態が悪化しているケースもあります」と話す。

救急搬送体制をつくり、地域間の連携も強化

栄養状態の簡易検査を受ける子ども 腕輪の色が赤に達すると「重度」と判断される 栄養状態の簡易検査を受ける子ども
腕輪の色が赤に達すると「重度」と判断される

MSFはマノノ保健区で、診療所を27軒支援し、マラリアの検査と治療薬を提供している。また、都市部から遠く離れた15以上の保健区に通院栄養治療センターを設置した。また、その他の診療所を補完する体制も敷いている。健康教育セミナーの開催や、活発な検診体制も地域間連携によって構築されている。

また、孤立集落にオートバイとカヌーによる搬送体制を導入することで、重体の子どもが入院治療を受けやすくなる体制を整えた。ウェガは「急患を搬送するためには、移動手段が確保できていること、搬送が無償であることの2点が不可欠です」と説明する。

マノノ総合病院では、救護テント6張の設置や小児救急処置室の支援を行っている。この病院では患者の80%がマラリアで、重度の貧血で輸血を必要としている人も多い。また、集中治療室(50床)は2016年1月19日の開設以降、常にフル稼働で、これまでに1424人の患者を受け入れた。

集中治療室長のフレディ医師は「子どもの栄養失調は、それだけで1つの大きな分野です。栄養失調は成長を遅らせるだけでなく、免疫系を弱めるため、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に、乳幼児は危険です」と話す。マノノ病院では、治療の第1段階として、子どもの消化力を回復・強化することや、合併症の治療を行っている。続いて栄養面のリハビリを行い、ある程度まで回復すると入院から通院に切り替えて経過観察を受ける。

急性栄養失調の対策には課題

タンガニーカ州の公衆衛生はもろい状況が続くとみられる。住民が医療を受けられる手段は限られている。現行の保健医療体制では、はしか流行やその後の危機に対処できていない。

MSFは数ヵ月で、生後6ヵ月から15歳の子ども約100万人に予防接種を実施し、はしかに感染した子ども約3万人を治療した。しかし、急性栄養失調の分野では、MSF以外に活動している機関・団体が少ないことや、対策資金の不足に直面している。

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