中央アフリカ共和国:子どもたち9717人に、はしかの予防接種

2016年01月08日掲載

集団予防接種の会場に集まった住民たち 集団予防接種の会場に集まった住民たち

中央アフリカ共和国はしかが流行し、国境なき医師団(MSF)は、ガジ地域の子どもたち9717人に予防接種を行った。ガジは首都バンギから西へ300kmほどの位置にあり、道路の状態が悪い上に、住居が広域に散在している。そのため、事実上、医療が受けられていない人びとが7万人以上も存在する。

MSFは交通面でさまざまな問題に直面しながらも、2週間で接種を完了した。予防接種開始から2週間で、合計9717人の子どもに接種した。年齢層は生後6ヵ月から5歳で、このうち約1000人は肺炎球菌感染症の予防接種も行った。このほか、6ヵ月未満の赤ちゃん約700人は肺炎球菌感染症のみの予防接種を行った。肺炎球菌は細菌の一種で、呼吸器系を中心にさまざまな感染症を引き起こす。

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はしか流行と武力衝突が同時期に

予防接種会場の様子 予防接種会場の様子

MSFの緊急対応チームで医療コーディネーターを務めるモンセ・ピュビルは「今回の予防接種は、ガジ地域の行政が2015年9月末にはしかが流行する恐れがあるとの警報を出したことを受けた対応です。当初、はしか診断のために届けられた検体検査は陰性だったのですが、それでも医薬品の配布が行われました」と話す。

しかし、同時期に首都で武力衝突紛争が起きたことで、活動は通常よりもさらに難しくなった。このときは首都で数十人が亡くなっている。その間もはしか流行の疑いは続いており、11月にもガジから改めて検体が届いた。ピュビルは「2回目の分析ではしかの発生が明確になり、緊急の集団予防接種へとつながりました」と説明する。

遠隔地にもスタッフを派遣

予防接種は当初、13ヵ所で実施する予定で11月下旬にジョモ村から始めたが、最終的には約30ヵ所に増えた。一部地域は都市部から遠く離れており、陸路での移動が非常に不便で、空路で現地入りすることもあった。地域住民と保健省職員を含めて合計300人以上がこの取り組みにかかわった。

また、予防接種に先立ち、健康教育チームが実施日の2日前に現地入りして、はしかについての知識と予防接種の利点を説明する活動も行った。ピュビルは「ワクチンに対して偏見を持つ人もいましたから、健康教育チームの仕事はとても大切でした」と振り返る。「担当者は各家庭を訪問して、対象年齢の子どもを探します。スタッフが子ども2人を抱っこし、ご両親が後についてきたこともあったんですよ」

公的医療の空白地帯

ガジ一帯には鉱山が広がり、ダイヤモンドの採掘も行われている。それにもかかわらず、医療に関しては巨大な"空白地帯"だ。ヘルス・ポストと呼ばれる簡素な医療施設がいくつかあるのみで、その大半は"空き家"になっている。

ビュビルは「鉱山関係で収入を得ている人がいる一方、住民の大半は最低限の保健医療も保障されていません。鉱山労働で賃金を得た男性たちはたいてい、ガジから100kmほどに位置する都市、カルノーに行って使ってしまうのです」と話す。そのため、多くの世帯では最低限の治療費も負担できない経済状態だ。MSFはカルノーでも活動しており、無償で医療を提供している。しかし、そこまでの交通費を捻出できる人はほとんどいないのだという。

MSFは中央アフリカ共和国で1997年から活動している。現在、2000人以上の現地スタッフと300人以上の外国人スタッフが活動に参加している。2013年12月の紛争が起きてからは、活動規模を倍増させて危機に対応している。また、近隣のチャド、カメルーン、コンゴ民主共和国で、中央アフリカ人からの難民を対象とした援助プログラムも行っている。

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