ケニア:世界最大級の難民キャンプ群でコレラ流行

2015年12月21日掲載

MSFのコレラ治療センターで診察を受ける患者 MSFのコレラ治療センターで診察を受ける患者

ケニア国内で1年以上にわたってコレラの流行が続き、その影響がソマリア国境沿いのダダーブ難民キャンプ群にもおよんできた。2015年12月第3週までに541人の感染が報告され、その大半がキャンプ群の1つ「ダガレイ・キャンプ」の滞在者だ。

国境なき医師団(MSF)はダガレイでの病院業務を拡大し、患者の一斉来院に備えてコレラ治療センターを開設した。ただ、劣悪な生活環境に雨期が拍車をかけており、流行拡大が懸念される。

今回のコレラ流行は2014年12月に始まり、国内16県に拡大。ダダーブでは2015年11月23日に流行宣言が発令された。

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資金削減で難民支援が縮小

キャンプ内に設けられた手を洗うための水場 キャンプ内に設けられた手を洗うための水場

ケニアでMSF活動責任者を務めるチャールズ・ゴードリーは「ダダーブでの集団感染は、衛生・生活環境が劣悪であること、衛生サービスへの長期的かつ適切な投資が不足していることを改めて示すものです」と指摘する。

ダダーブに滞在している人びとは、援助を頼みとして生活している。しかし、資金拠出が縮小している影響で、キャンプ内の公共サービスが適切に維持されていない状況が数年にわたって続いている。

ゴードリーは「滞在人口の規模に対し、十分な数のトイレもなく、この2ヵ月は石けんも配布されていません。コレラ以外にも、12月第3週は来院者数が2倍に増えました。多くは栄養失調になった子どもです」と話す。

劣悪な生活環境、雨期でさらに悪化

コレラの集団感染で、ダダーブではすでに7人が亡くなった。MSFのコレラ治療センターの開設から12月16日までの3週間で受け入れた患者は307人。このうち約30%が12歳未満の子どもだった。

MSFはコレラへの適切な対処や予防を伝えるため、キャンプの各所で健康講習会を開いている。さらに、治療センターに受け入れた患者の滞在場所を訪問し、感染拡大の防止のために消毒液を噴霧している。

ゴードリーは「劣悪な衛生環境が雨期でさらに悪化しています。大雨が降るたびに患者が増えるのです。コレラの緊急対策だけでなく、難民の生活環境の向上と集団感染の再発防止に向け、長期的かつ適切な投資が欠かせません」と話す。

コレラは適切な処置で予防・治療できる

コレラは、汚染された水や食料を介して広がる。ヒトに感染すると爆発的な流行を引き起こすこともある。さらに、衛生習慣と衛生設備の不足がそれを加速させる。コレラ予防には、衛生条件を改善するほかない。

コレラの治療は難しいものではない。嘔吐(おうと)や下痢で失われた水分と電解質を速やかに補うことに効果があり、経過もいい。経口補水液と抗生物質で処置するのが一般的だが、重症例は点滴での補水が必要な場合もある。

今回のコレラ流行では、MSFが発生当初から保健省と連携し、17県で患者の治療と感染制御を支援している。発生からこれまでに少なくとも8360人が保健省とMSFの治療を受けている。

MSFは、ダダーブ難民キャンプ群の1つ、ダガレイ・キャンプで唯一の医療機関だ。現地スタッフが病院(100床)と診療所2軒を管理・運営している。病院は外科、産科ケア、HIV/エイズ治療、結核治療などに対応し、入院・外来診療ともに提供している。また、栄養失調児のための入院栄養治療センターも備えている。2014年は、外来診療18万件、入院患者1万2000人、産前診療1万2000件、分娩介助3240件などを提供した。MSFのダダーブでの活動は20年におよぶ。

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