ネパール:MSF、被災地での活動を地元に引き継ぎへ――大地震から7ヵ月余

2015年12月04日掲載

ネパール大地震が発生したのは2015年4月25日。さらに5月12日には強い余震があった。この地震で亡くなった人は8000人以上、負傷者は2万人以上とみられている。国境なき医師団(MSF)は地震の翌日には被災地に入り、緊急援助活動を開始した。

それから7ヵ月。首都カトマンズから車で1時間ほどの距離にあるサンガ村では、基礎看護と外傷患者を対象にしたリハビリ診療を提供している。患者の多くは震災で脊髄や四肢に損傷を負った人だ。また、ドラカ郡チャリコットでは、地域の病院の外科と入院部門を支援している。

被災地の危機的状況が次第に緩和されていることから、MSFは年内をめどに、この2ヵ所での活動を現地の医療機関や行政に引き継ぐ方向で準備を進めている。

リハビリセンターで被災者の社会復帰をサポート

MSFの理学療法士からリハビリの指導を受ける患者 MSFの理学療法士からリハビリの指導を受ける患者

当局によると、特に被害が大きかったシンドゥパルチョーク郡とカブレパランチョーク郡の負傷者は2700人以上で、そのうち推定10%がリハビリ治療を必要としている。MSFは7月、サンガの脊髄損傷リハビリセンター(SIRC)敷地内にテント3張を設置した。これは、集中治療を終えた患者が退院するまでの間の受け皿となる施設で、最大21人まで同時に受け入れられる。

サンガでMSFの看護チームリーダーを務めるジュリアン・コルパイエットは「長期の経過観察を必要とする整形外科系の患者が大勢います。そうした人びとにとってSIRCは、社会復帰を準備する場として理想的でした」と話す。

SIRCではこれまで40人の患者を受け入れた。入院期間は長い人で4ヵ月。コルパイエットは「ここでは主に理学療法を行っています。可動域を広げるために各人やとグループでエクササイズを毎日行っています。帰宅後も続けられるように、その指導も行っています」と説明する。

カウンセリングも重視

また、カウンセリングも重要な取り組みだ。患者の多くは家族や友人を震災で亡くし、心理面の問題を抱えている。MSFのカウンセラーは毎週合計20~30回の個別セッションと家族セッションを設け、どのような問題があるか、またそれぞれが何を必要としているかをつきとめてサポートしている。グループ活動には編み物や読書会などを取り入れ、参加しやすい工夫もしている。

MSFが被災地での活動を終えた後もSIRCで総合的なリハビリ診療が続けられるように、MSFはSIRCの施設に2階を増築した。サンガでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるロハン・ドハンは「2階部分は50床を備え、より多くの患者を受け入れられるようになりました。また、理学療法士と看護師を対象とした研修会を開き、予備の機器や設備の寄贈も行いました」と話す。

被災者の医療ニーズが徐々に減り始めていることから、MSFは手始めに、サンガとチャリコットでの活動の引き継ぎを進めている。ネパールでMSFの活動責任者を務めるヘレン・オッテンス=パターソンは「交通が不便な遠隔地ではいまも、多くの人が医療を受けられずにいます。さらに、この2ヵ月ほどは政治的な理由とみられる国境の封鎖状態が続いており、復興が滞っています。事態が速やかに改善され、人びとが適切な援助を受けて冬を迎えられるようにと願っています」と話す。

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