アフガニスタン:爆撃から1週間、世界中から調査を求める声

2015年10月09日掲載

アフガニスタンのクンドゥーズ州で国境なき医師団(MSF)が運営していた外傷センターがアメリカ軍に爆撃され、患者・スタッフ計22名が犠牲となった事件から1週間。MSFはこの爆撃を国際人道法に反する暴挙と断じ、独立した国際的な第三者機関による透明で完全な調査を求めています。

その声は日本をはじめ世界中に広がり、ご賛同・ご協力をいただいております。本記事では、爆撃があった忌まわしい日から1週間の動きをまとめました。"独立した調査"を実現し、事態の徹底解明がなされるように、改めてご協力をよろしくお願い申し上げます。


世界各地のMSF事務局や活動地のスタッフが「病院爆撃の独立した調査を!」と求めています。上段左から時計回りに、アフガニスタン(クンドゥーズ州から避難したスタッフと首都カブールにて)、マリ、日本、アメリカ、イギリス


爆撃から1週間の経緯

  • 10月3日閉じる

    夜が明けてなお、外傷センターは燃え続けていた 夜が明けてなお、外傷センターは燃え続けていた

    現地時間午前2時8分、突然、外傷センターへの爆撃が始まる。「爆音で目が覚めました。最初は何が起きているのかわかりませんでした。近距離からのごう音でした」(現場で活動していた看護師)

    爆撃開始の直後から、MSFは米国政府やアフガニスタン政府に直ちに停止するように求めた。しかし、爆撃は午前3時15分まで、15分間隔で繰り返された。また標的となったのは、集中治療室、救急救命室、リハビリ病棟のあるメインの建物であり、周囲の建物はほとんど無傷だった。爆撃により、患者・スタッフ計22名が命を奪われ、スタッフ19人を含む37人が負傷した。

    MSFはすべての紛争当事者に、あらかじめGPSによる病院の位置情報を知らせていた。爆撃の真相を突き止めるため、完全な情報公開を要求した。

  • 10月4日開く

    米国政府は当初、MSFの犠牲を「コラテラル・ダメージ(巻き添え被害)の可能性」「悲劇的な事故」と表現。しかし、一部のアフガニスタン政府当局者が爆撃を正当化する声明を発表した。MSFはこれを厳しく批判。当事者のみでは透明性が保たれないと判断し、独立した第三者による調査を要求した。

  • 10月5日開く

    米国政府は一転、爆撃が米軍によるものだったことを正式に認めた。その上で「アフガニスタン政府の要請によるもの」と責任を転嫁する姿勢を示した。MSFは「米国とアフガニスタンの談話に矛盾が生じている。透明性が確保された徹底的な調査の必要性は高まるばかりだ」との声明を発表。

  • 10月6日開く

    爆撃の真相究明を求める声が全世界に広がる。「#IndependentInvestigation」(日本語版:「#病院爆撃の独立した調査を!」)のハッシュタグを使い、SNSなどで急速に拡散を続けている。

  • 10月7日開く

    MSFインターナショナルのジョアンヌ・リュー会長が、国連欧州本部で会見を開き、国際事実調査委員会(IHFFC)による調査を呼びかけた。同日、米国のオバマ大統領がリュー会長に電話で謝罪。リュー会長は「IHFFCによる調査への同意を」と求めた。



爆撃の直後、MSFのチームは生存者を避難させ、被害の無かった建物で負傷者の手術にあたりました。この外傷センターは、アフガニスタン北東部で唯一、さまざまな外傷治療に対応できる施設で、2011年に開設されて以来、高い水準の外傷治療を無償で提供してきました。現在同施設は機能できない状況にあり、MSFはアフガニスタン・クンドゥーズ州から撤退。患者を他の病院に移送した上で、スタッフもすべて引き上げました。患者・スタッフと活動の安全が確実に保障されない限り、活動再開は難しい状況です。詳細はこちら。(2015年10月9日時点)

爆弾が降り注ぐ中で/生存者の証言

10月3日未明の爆撃時に、外傷センターの敷地内には、患者105人と付き添いの人びとと、MSFスタッフ80人以上がいました。MSFのアフガニスタン北部での活動責任者と看護師が当時の状況を証言しました。

「病棟が炎に……」/ヘマン・ナガラスナム(MSF活動責任者)

爆撃と同時に爆撃機が旋回する音が聞こえました。旋回音が一時停止すると爆弾が降り注ぐ。それが何度も繰り返されました。事務室から外に出ると、すでに主要病棟が炎に包まれていました。 全文を読む

「燃える建物内では……」/ラヨス・ソルタン・イェクス(MSF看護師)

燃える建物内に目を凝らした時の光景は、説明しようもありません。あのような惨状を描写する言葉があるとは思えません。集中治療室では患者6人がベッドの上で焼かれていました。 全文を読む

MSFの医療・人道援助は、中立・独立・公平の立場から、思想・信条・宗教・政治的立場などにかかわらず、患者の医療ニーズのみに基づいて行っています。MSFのアフガニスタンでの活動資金はすべて民間からの寄付でまかなわれており、各国政府などからの公的資金は使われていません。

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