アフガニスタン:MSF外傷センターへの爆撃、「連合国軍は完全なる情報公開を!」

2015年10月04日掲載

爆撃直後でぼう然とするMSFスタッフ

国境なき医師団(MSF)は、アフガニスタン のクンドゥーズ州で運営している外傷センターが爆撃されたことを厳しく非難する。子ども3人を含む患者7人とスタッフ12人の命が奪われた。また、スタッフ19人を含む計37人が負傷した。この爆撃は極めて重大な国際人道法違反である。

現時点では、この爆撃は連合国軍によるものだということをすべての指標が示している。MSFは連合国軍に対し、10月3日未明の爆撃についてすべての情報を開示することを要求する。また、情報公開の透明性と説明責任を最大限に担保するために、連合国軍から独立した立場からの調査も求める。

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15分間隔の爆撃が1時間、主要施設に極めて正確に着弾

爆撃で炎に包まれる外傷センター

外傷センターでの活動に中心的な役割を果たしていたMSFベルギーのマイネ・ニコライ会長は「この爆撃は許し難く、国際人道法への極めて重大な違反です。MSFは連合国軍に対し、完全なる情報公開を求めます。12人の命が奪われたこの事実を『紛争地では巻き添えが出ることもやむをえない』などと簡単に片づけることは受け入れられません」と話す。

MSFの外傷センターには、10月3日の午前2時8分から3時15分まで、15分間隔で爆撃が繰り返された。外傷センターの主要病棟、集中治療室、救急救命室、理学療法室の各施設が極めて正確に爆撃され、その周囲の施設はほぼ被弾しなかった。

「爆撃機が施設上空を旋回し……」――MSF活動責任者の証言

爆撃の負傷者の治療に力を尽くすMSFスタッフ

MSFのアフガニスタン北部での活動責任者を務めるヘマン・ナガラスナムは「爆撃と同時に爆撃機が旋回する音が聞こえました」と証言している。旋回音が一時停止すると爆弾が降り注ぐ。それが何度も繰り返された。「私は事務室にいたのですが、外に出ると主要病棟が炎に包まれていました。病棟の2つの地下室に避難できた人もいましたが、自力で動けない患者たちはベッドに横たわったまま炎に包まれてしまいました」

爆撃直後から、外傷センターのMSFチームは、被害がなかった部屋を仮設の手術室とし、患者や同僚たちの救急救命に全力を尽くした。重傷で対応しきれない患者は、車で2時間走ったところにあるポレ・ホムリの病院に移送した。

MSFはGPSで位置情報を知らせていた

爆撃の夜が明けた外傷センター

MSFは、GPSを用いた外傷センターの位置情報を連合国軍、アフガニスタン政府軍、地域の行政当局に機会があるたびに知らせていた。これは、アフガニスタンに限らず、紛争地で活動する場合には必ず行っていることだ。しかも、外傷センターについては、直近では9月29日に情報を伝達したばかりだった。それにもかかわらず、爆撃されたのだ。

MSF日本のジェレミィ・ボダン事務局長は「爆撃は患者とスタッフの命を奪い、アフガニスタンで最も必要とされている外傷治療に緊急対応できる医療施設を破壊したのです。私たちはすべての紛争当事者に、国際人道法に則り、一般市民、医療施設、医療スタッフの安全を尊重することを、もう一度、強く要求します」と強調する。

MSF外傷センターでの活動の背景

2015年9月28日に戦闘が始まり、MSFはこれまでに負傷者394人を治療してきた。空爆が始まった10月3日未明の時点で、外傷センターの敷地内には、患者105人とその付き添い、およびMSFスタッフ80人以上がいた。

MSFの外傷センターは、アフガニスタン北東部で唯一、さまざまな外傷治療に対応できる施設だ。2011年に開設し、高い水準の外傷治療(四肢の温存療法を含む)を無償で提供してきた。2014年だけでも、2万2000人以上を治療し、5900件以上の手術を行った。

MSFの医療・人道援助は、中立・独立・公平の立場から、思想・信条・宗教・政治的立場などにかかわらず、患者の医療ニーズのみに基づいて行われる。MSFのアフガニスタンでの活動資金はすべて民間からの寄付でまかなわれており、各国政府などからの公的資金は使われていない。

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