コンゴ民主共和国:はしかの大流行続く——今すぐ予防接種率の向上を

2015年09月03日掲載

MSFは各集落に出向き、はしかの兆候が見られる子どもたちの治療を行っている MSFは各集落に出向き、はしかの兆候が見られる
子どもたちの治療を行っている

コンゴ民主共和国のカタンガ州で、2015年3月に確認されたはしかの流行がいまなお猛威をふるっている。国境なき医師団(MSF)は「コンゴ民主共和国: はしか流行で緊急対応——MSF、集団予防接種を実施」の記事で国際社会へ向けて警鐘を鳴らしたが、その後、事態はさらに深刻化。緊急対応に必要な人材・物資・資金が不足している。

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公的な対応の遅れで流行拡大?

41度以上の高熱が出て病院に運び込まれ、はしかと診断された赤ちゃん 41度以上の高熱で搬送され、
はしかと診断された赤ちゃん

公式発表では、カタンガ州の感染者は2015年だけですでに2万人を超え、亡くなった人は300人以上とされている。この流行規模は2011年以降で最大だ。2011年当時は、MSFは210万人の子どもに予防接種を行った。

コンゴでMSFの活動責任者を務めるジャン=ギー・ヴァトーは「6月時点で、カタンガ州に68ある保健区域のうち10区域が流行地域となっていました。現在、流行地域は倍以上となり、今も増え続けています。しかし、政府からは公式の流行宣言が出されていません」と話す。

こうした公的な対応の遅れが、資金提供の遅れにつながっていたり、タイムリーな対応のさまたげになっていたりする可能性がある。国連は8月19日にようやく、コンゴ政府やはしかに対応している諸機関・援助団体に240万ドル(約2億9000万円)を拠出すると発表した。しかし、ヴァトーは資金提供だけでは足りないと警告する。「カタンガ州ではしかの治療と予防接種を子どもに行っている団体は、MSFともう1団体しかありません。さらに多くの機関や団体が活動する必要があります」

病院に行きたくても……

MSFはカタンガ州で、10区域以上に展開し、現地の保健医療当局を支援している。過去3ヵ月間で患者2万以上を治療し、30万人以上の子どもに予防接種を行った。はしかは"風土病"とみなしてもよいほど流行を繰り返しており、マラリアや急性栄養失調などの小児患者は特に危険だ。

MSFのはしか流行対応コーディネーターを務めるオーガスティン・ンゴイは「はしかによる死亡報告が連日続いています。はしかに感染していたことを当局が把握していなかった人びとです。公的な無償の医療提供がないため、子どもを病院に連れて行くことをためらう母親は少なくありません」と話す。

州内のカバロという町からさらに車で2時間ほど行ったところにある人口500人の村では、ここ2ヵ月で、5歳未満の子ども30人以上が命を落とした。これは村の5歳未満の子どもの3分の1を占める。村の墓地にはその小さなお墓が並んでいる。

予防接種をさまたげる数々の困難

カタンガ州では、森林地帯の奥地の村への交通が不便で、これも予防接種を難しくしている原因だ。MSFの予防接種活動アドバイザーを務めるオーロラ・タコネは「はしかの予防接種は効果的な施策ですが、カタンガ州のような環境にはあまり適していません。予防接種に不可欠なコールドチェーン(低温輸送システム)の維持が難しいためです。また、初回の予防接種から遅くとも1ヵ月以内に2回目の追加接種が求められますが、そのためには人材、装備、そして多額の費用が必要となります」と説明する。

コンゴでも、はしかを含む定期予防接種が行われている。接種率を高めるために、毎年、集団予防接種も行われている。しかし、MSFの医療コーディネーターを務めるミシェル・ジャンセン医師は「現場の実感として、多くの子どもが未接種です」と話す。

さらに、ジャンセン医師は「はしかの予防接種率のデータが正確であれば、このような大規模の流行が起きるなどありえないことです。定期予防接種の効率を上げることが、政府や資金拠出者にとっても得策です。壊滅的な危機に直面してからでは、緊急対応に多額の費用がかかるのですから」と指摘する。

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