ギリシャ・マケドニア:国境地帯の滞在者、1週間で10倍に――MSF、緊急援助を拡大

2015年07月10日掲載

国境地帯へ向かって歩く150人のシリア人グループ 国境地帯へ向かって歩く150人のシリア人グループ

ギリシャとマケドニア旧ユーゴスラビア共和国の国境地帯にあるイドメニ村付近で足止めされている移民・難民の数が、わずか1週間で10倍に増えた。国境なき医師団(MSF)は2015年4月から、この地域で待機している人びとを対象に、診療・心理ケア・救援物資の配布などを行ってきた。

対象人口の急増をうけ、移動診療チームを増員するなど活動の拡充を進めている。現在は週5日のペースで人びとのもとへ足を運んでいるが、7月には週7日ペースに増やす予定だ。

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シリア・アフガン・イラクから安全な地を求めてきたが……

MSFの心理療法士に相談する人びと MSFの心理療法士に相談する人びと

ギリシャ・マケドニア間の国境地帯で、マケドニア警察と特殊部隊が警備を強化したことにより、欧州北部を目指していた2000人がイドメニで足止めされた。中には、別の国境通過地点から出国しようと試みている人もいる。

MSFの診療を受けている患者の大多数は、シリア、アフガニスタン、イラクの紛争から逃れてきた人びとだ。高齢者、身障者、妊婦、5歳未満の子どもなども含まれている。林の中や鉄道の駅などで野宿し、食糧や衛生設備もない劣悪な環境で生活している。

イドメニでMSFのプログラム責任者を務めるアントニス・リガスは「この地域にやって来る人びとがさらに増えれば、事態は一層深刻になるでしょう。この辺りには生活基盤となる施設がないため、これからのことを不安に感じているもいます。危険を冒して国境を突破しようと試みる人も後を絶たず、死亡事故も起きています。安全な場所を求めて紛争から逃れてきた人びとが、また命を危険にさらす状況に追い込まれているのです」と話す。

MSFの移動診療チームは、週5日のペースで現地に足を運び、診察、心理ケアの提供、毛布・栄養補助食・石けんなどの救援物資の配布などを行っている。

過酷な長旅と困難な生活で病気に

国境地帯に集まってきている人びとの間では、呼吸器感染、皮膚感染、筋肉痛、消化器系統の病気などが多い。厳しい旅を続けてきたためとみられる。また、足にひどいまめができていたり、激しい筋肉痛に悩まされていたりする患者も多い。ギリシャ国内のテッサロニキ市から国境地帯まで、公共交通機関の利用を拒否され、自家用車に乗せてくれる人も見つからず、歩くしかなかったからだ。

MSFの心理療法士を務めるアゲラ・ボレツィは「母国で心に傷が残るような事件を経験し、過酷な旅をして到着したこの場所で、国境警備隊員に押し戻され、怒鳴られているのです。警官が、立ち入り禁止を伝えるために威嚇発砲をすることもあります。青あざがある人の治療をしたことも。国境警備隊員に殴られたそうです」と話す。

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