モーリタニア: 難民キャンプで食糧配給がストップ

2015年07月09日掲載

MSFの栄養治療を受けている生後10ヵ月の女の子(2015年3月13日撮影) MSFの栄養治療を受けている生後10ヵ月の女の子
(2015年3月13日撮影)

アフリカ西部のモーリタニアに設置されているムベラ難民キャンプで、月1回の食糧配給が2015年7月に中止となり、「全急性栄養失調率(GAM)」の上昇が危ぶまれている。ムベラには隣国マリから紛争を逃れてきた難民4万9500人が滞在している。

国境なき医師団(MSF)はムベラで、医療・人道援助と栄養支援を行っている。また、難民キャンプ滞在者が安定して食糧を調達できるように、各国の資金提供者に協力を呼びかけている。

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不安定な食糧配給

ムベラで援助を行っている世界食糧計画(WFP)は、資金難で7月の食糧配給の財源を確保できていない。一方、難民キャンプの管理運営を担う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も資金不足で、栄養失調を防ぐ方策を講じられないという。

食糧事情は以前から不安定だった。3月に一度、食糧配給が全面中止となり、MSFの栄養治療プログラムに運ばれてくる子どもが増加した。中止前の1ヵ月の患者数は30人だったが、中止後は1ヵ月で79人まで増えている。6月には、米の配給量が1人あたり12kgから5.4kgに削減されている。

モーリタニアでMSF医療コーディネーターを務めるマハマ・グバネ医師は「MSFが活動を開始した2012年、ムベラの全急性栄養失調率は約20%でした。WFPなどと連携し、これを推計9%まで低下させました。今回の配給中止で、ただでさえ大変な状況で生活している人びとの健康が壊滅的な水準にまで後退してしまうようなことになれば悲劇です」と懸念する。

帰国したくてもできない事情

ムベラに滞在している人びとは、マリ北部で紛争が始まった2012年に避難してきた。マリ国内では一部の反政府武装勢力が和平協定に調印したが、人びとは今も帰国に不安を感じている。

ムベラは砂漠地帯で、気温が50℃に達し、砂嵐もたびたび発生する。多くの人が家畜を連れて避難してきたが、相次ぐ干ばつでサヘル地帯全域の牧草地が激減。生活の大半を人道援助に頼らざるを得ない状況だ。一方、マリ北部の町村では現在も襲撃や略奪が起きているため、帰国は時期尚早ではないかとの懸念が広がっている。

食糧生産を妨げる過酷な気候

キャンプ滞在者でつくる女性委員会のマヤ・ワレト・モハメド代表は「共同農園で食糧生産を試みていますが、焼けつくような暑さ、吹きつける砂、害虫の被害で、穀物はほとんどだめになってしまいます。今回の食糧配給の中止は特に時期が悪いと感じています。ラマダン(イスラム教の断食月)の時期なので日中は飲食をしませんが、日が落ち、断食の時間が終わっても、食べるものがほとんどないのです」と話す。

故郷を離れて3年、多くの人は手元のわずかな所持品を売却し、伝統的な移動生活者の食糧である肉やミルクなどに換えてきた。これらはWFPの配給には含まれない。こうした予備的な食糧の調達も、今では難しくなっている。マヤ代表は「私たちにとっても、この国の人びとにとっても死活問題です。干ばつで家畜が死んだり、価値を失ったりしています」と訴える。

MSFはモーリタニアで1994年に活動を開始した。現在、370人のスタッフが活動しており、ムベラ難民キャンプ、バシクヌー、ファサラなど南東部で基礎医療、救急外科、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)などを無償で提供している。

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