アフガニスタン:病院に武装兵が乱入――MSF、政府に再発防止を要求

2015年07月06日掲載

MSFが運営しているクンドゥーズ外傷センター(2015年5月13日撮影) MSFが運営しているクンドゥーズ外傷センター
(2015年5月13日撮影)

国境なき医師団(MSF)は、アフガニスタンのヘルマンド州クンドゥーズで運営している外傷センターに、アフガニスタン特殊部隊の武装兵が暴力的に立ち入ったことを強く非難する。医療の保護を定める国際人道法に背くものであり、決して容認できない。

2015年7月1日午後2時7分、特殊部隊の複数の重装兵が敷地に侵入した。兵士たちは施設の周囲に非常線を張った上、威嚇射撃を始めた。さらに、MSFスタッフ3人に暴力をふるい、院内に武器を持ち込み、患者3人を拘束した。

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患者を拘束、MSFスタッフを銃で脅す

病院スタッフは、拘束された3人の治療が続けられるように懸命に掛け合ったが、その際、兵士2人がMSFスタッフ1人を銃で脅した。およそ1時間後、兵士たちは患者3人を解放し、病院を離れた。

MSFオペレーション・ディレクターのバート・ジャンセン医師は「衝撃を受けています。クンドゥーズ外傷センターは、2011年の開設以来、全ての患者が安全に、外科を含む医療を無償で受けられる場となってきました。このセンターを頼りにしている大勢の人の命が、今回の重大事件で脅かされているのです」と訴える。

地域で唯一の外傷センターの危機

アフガニスタン北東部では、クンドゥーズ外傷センターのような施設はここにしかない。高水準の救命や患部の温存治療も可能だ。2014年は2万2000人以上が治療を受け、5900件以上の手術が行われた。非常に不安定な環境下にありながら、MSFが援助を続けられているのは、地域社会と紛争の全当事者から医療活動への認知と尊重を得ているからだ。

MSFはいずれの活動先でも、医療施設への武器持ち込みを厳格に禁止している。患者やMSFスタッフが脅迫され、安全な環境での医療提供ができないようであれば、クンドゥーズ外傷センターの活動は一時中断せざるを得ない。

中立・独立・公平の立場の尊重を

医療活動を尊重すること、今回のような出来事を2度と起こさないこと、この2点の確証を公式に得るため、MSFはアフガニスタン防衛省および内務省に緊急会合を申し入れている。

ジャンセン医師は次のように強調している。「MSFは紛争地で活動する際も、特定の陣営につくことは決してありません。MSFの医師は医療ニーズに基づき、人種、民族、宗教、党派の別なく全ての患者を治療します。どんな負傷者でも、必要があればMSFのクンドゥーズ外傷センターで救急医療を受けられるのです」

国際医療団体であるMSFは、1981年にアフガニスタンで活動を開始。クンドゥーズの外傷センターは、交通事故被害者や、紛争被害による爆傷・銃創患者などに質の高い医療と外科処置を無償で提供するため、2011年8月に開設した。このほか、首都カブールの東部のアーメッド・シャー・ババ病院、西部のダシュ・バルチ産科施設、ヘルマンド州ラシュカルガのブースト病院で保健省を支援している。また、ホースト州では産科病院を運営している。アフガニスタンにおけるMSFの活動は民間からの資金のみを財源とし、いずれの国の政府からも融資を受けていない。

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