タンザニア: 難民急増でコレラ発生――MSF、緊急対応を開始

2015年06月29日掲載

MSFからコレラの経口ワクチンの接種を受ける少年 MSFからコレラの経口ワクチンの接種を受ける少年

国境なき医師団(MSF)は2015年6月、アフリカ東部のタンザニアに滞在している11万5000人の難民に、コレラの集団予防接種を行っている。難民の大半は隣国ブルンジやコンゴ民主共和国出身で、紛争を逃れてきた人びとだ。

最近はブルンジから到着する人が急増し、難民キャンプ内の人口が2倍近くになっていた。5月中旬にはコレラの発生が宣言される緊急事態となっている。公式発表では、6月22日時点でのコレラ症例数は3086人で、亡くなった人は34人となっている。

MSFは、タンザニア保健省、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界保健機関(WHO)と連携し、1歳以上の難民キャンプ滞在者に接種している。6月20日にニャルグス難民キャンプから開始し、6月22日時点で5万5000人が完了した。今回は経口ワクチンを使用している。

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水が足りない!

ブルンジからの難民が急増したことで、ニャルグス・キャンプでは給排水が追いつかない状況となっている。給水は1人1日当たり平均11リットルで、これは緊急時の必要最低限の水量を大きく下回っている。

タンザニアでMSFの緊急対応コーディネーターを務めるレイチェル・マーズデンは「ニャルグスの状況は非常に不安定です。コレラの症例数はまだ低い水準ですが、ブルンジから大勢が到着する事態が起きれば、給排水はさらに厳しい状況に置かれます。コレラがさらに拡大する可能性があります」と話す。

ワクチン・インフラ整備・健康教育の3点セットで

子どもたちの栄養状態のチェックも重要だ 子どもたちの栄養状態のチェックも重要だ

MSFが経口コレラワクチンを最初に採用したのは、2012年にギニアでコレラが流行した時だった。この時には、接種を受けた人の86%がコレラの流行時に感染しなかったとの結果が出た。これは、流行期間中に実施された予防接種の有効性に関する研究報告として、2014年に『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(NSJM誌)に掲載された。

マーズデンは「ワクチンの有効性は明らかです。ただ、これはコレラ対応の一環に過ぎません。ニャルグスでは、給排水環境を早急に整える必要性があります。コレラ流行のリスクを下げるには、清潔な水の供給と、衛生習慣の大切さを伝える健康教育が欠かせません」と指摘する。

予防接種チームは10人1組で計20チーム。2回目の接種は7月に予定している。また、栄養状態に関するスクリーニングも行い、病気になりやすい5歳未満の子どもの栄養状態を把握していく。

ニャルグス・キャンプでは、MSFはコレラ治療センター(CTC、50床)を設置している。これは、必要に応じて150床まで拡大できる。また、アウトリーチ活動(※)も行っている。近隣のキゴマ地区にもCTCの用地を確保し、医療物資と建設資材が必要になった場合に備え、搬入を済ませている。キゴマから船で4時間かかる場所に設置された一時滞在キャンプ、カグンガでもCTC(25床)を緊急事態準備計画の一環として設置した。

  • 医療援助を必要としている人びとを見つけ出し、診察や治療を行う活動。

UNHCRの統計では、タンザニアのブルンジ人難民は5万6641人。その大半がニャルグス・キャンプに滞在している。ブルンジからは毎週2000人が国境を越え、タンザニアのニャルグスに到着している。このほか、コンゴ民主共和国出身の6万4000人も滞在している。MSFは現地の赤十字社とも連携し、重症患者への対応用に救急搬送体制も導入している。

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