ニジェール: 髄膜炎の患者数が大幅減――MSFと保健省の連携で

2015年06月18日掲載

髄膜炎で入院した少年(11歳)MSFの治療で回復し、無事に退院した 髄膜炎で入院した少年(11歳)
MSFの治療で回復し、無事に退院した

ニジェールの首都ニアメで髄膜炎の患者数が大幅に減少している。国境なき医師団(MSF)の把握している限りでは、2015年5月上旬から6月上旬の間に、患者数が98%減少した。さらに、首都以外の地域でも患者数は減少傾向にある。

この成果を受け、MSFと保健省が協力してこれまでに4000人以上の患者を受け入れてきたラザレ診療所も閉鎖された。ただ、流行はまだ終息には至っておらず、油断は禁物だ。

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従来とは異なる菌株が流行

MSFの診察を受ける2歳の男の子髄膜炎ではないことがわかり一安心だった MSFの診察を受ける2歳の男の子
髄膜炎ではないことがわかり一安心だった

MSF疫学専門家のベルナデット・ジェルゴンヌは「今回の流行は、患者数の増減が非常に激しいことが特徴です。国内で再び増加する見込みは薄いとみられますが、警戒態勢を解かず、疫学的監視を続ける必要があるでしょう」とそう説明する。

MSFは特に、前例のない規模でC型髄膜炎菌が流行したことに注目している。ニジェールではA型の流行が主流だったからだ。ジェルゴンヌは「C型が新たに定着したとみられるニジェールでは、何年かにわたって乾期(10月~5月ごろ)の感染拡大リスクが続くと考えられます。予防接種が普及していないため、1月以降の再流行への対応に備えなければなりません」と話す。

「医療の分散化」で治療を身近に

MSFから髄膜炎についての説明を受ける住民たち MSFから髄膜炎についての説明を受ける住民たち

MSFはニアメで「医療の分散化」を推進し、髄膜炎治療をより受けやすいものにした。診療を地域の統合保健センターで行うことにより、患者はラザレ診療所まで移動しなくてよくなった。これにより確定診断が素早く行えるようになり、患者は自宅の近くで抗生物質を受け取れるようになった。一方、重症者を病院に緊急搬送する体制も整えた。

さらに、複数のMSFチームがニアメ全域の公共施設や民家を訪ね、公衆衛生に関する情報を発信している。これまでに29万7880人以上の住民に、髄膜菌の拡大の危険性と予防策を広報した。髄膜炎は発症後の数時間で死に至る場合もあり、感染が疑われる場合はできる限り早く医療施設を訪れる必要がある。

ニジェール担当局の報告によると、感染の疑いがある患者は6月2日時点で8327人。死亡者数は500人を超えた。ニジェールでMSF活動責任者を務めるジュリヤン・マテルは「現状は保健省と協力して患者に対応しています。しかし、今後は、人びとの手が届く価格でのワクチン普及を進めなければなりません。悲劇の再来を防ぐために必要な措置です」と訴える。

MSFは2015年3月23日から保健省と協力し、ニアメのラザレ診療所で約4000人を治療。また、同市郊外の24の統合保健センターで、治療と重症者の病院搬送を支援している。

また、ドッソ、ティラベリ、タウア3県でも多くの地区病院・村落診療所を訪れ、患者の検査、スタッフの研修、医療データの収集、治療薬の寄贈を行っている。ニーズの高まりに応じて診療所も増設した。さらに、ドッソ県ドゥーチ保健区域で6万1719人、ガヤ保健区域で3万7573人にワクチンを接種している。

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