地中海:3隻目の救難船を投入、活動を強化

2015年06月15日掲載

出港を待つディグニティ・ワン号 出港を待つディグニティ・ワン号

アフリカなどから命がけで地中海を渡る人びとが後を絶たない。紛争、迫害、貧困など、母国の危機を逃れ海路で欧州を目指す人びとだ。国境なき医師団(MSF)は、2015年5月より海難者の救助活動を続けているが、このたび3隻目となる新たな救難・医療船「ディグニティ・ワン」(全長50メートル)を投入し、活動の強化をはかっている。医療スタッフを含む18人を乗せた船は300人の搬送が可能で、6月13日にスペイン・バルセロナを出港した。

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使命は同じ、人命救助

MSFの活動責任者パウラ・ファリアスは「地中海で私たちが目にしているものは人道危機の1つです。この救難活動は海上という意味でMSFが行う他のプログラムとは様相を異にするかもしれませんが、私たちの使命は南スーダンやシリアと同じ、人命救助です」と語る。

MSFは、これまでも地中海での救難活動に力を入れてきた。5月2日には、NGO「ミグラント・オフショア・エイド・ステイション」(=MOAS、「漂着難民の救護所」の意味)が運航する「マイ・フェニックス」が、救助後のケアを行うMSFチームを乗せて出港。6月13日までに1789人を救助した。また、5月9日にはMSFが独自に運航する「マイ・バーボン・アルゴス」も活動を開始し、1242人を救助している。ディグニティ・ワンには、こうした地中海におけるMSFの捜索・救難活動を強化する役割が期待される。

天候の安定する季節を前に、活動の強化必要

出航準備を進める作業員 出航準備を進める作業員

MSFはさらに地上でも活動している。救助された人の大半が上陸するイタリアのシチリア自治州ラグーザ県ポッツァッロの主要受入施設では医療援助を行い、同県下の全ての下位受入施設では心理ケアを提供している。また、心理ケアの緊急要請を受けてから72時間以内に、イタリア各地の到着港へ文化仲介スタッフ・心理療法士各1人で構成される心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)チームを派遣する態勢も整えた。

ファリアスは「夏らしい安定した天候に伴い、渡航を試みる人の数は今後何週間かでさらに増えるでしょう。その人びとを援助し、海上の人命喪失を避けるためには、強固な活動が求められるのです」と話している。

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