MSF「2007年、10の最も報じられなかった人道的危機」を発表

2008年01月25日掲載

MSFは毎年、メディアの関心の外側で、出口の見えない危機にとらわれ続ける人びとの窮状を訴えることを目的として、年間を通じて世界で最も注目を浴びず、報道されることの少なかった人道的危機ワースト10のリスト「10の最も報じられなかった人道的危機」を発表している。10回目となる今年のリストには、中央アフリカ共和国(CAR)、ソマリア、スリランカ、コロンビア、ミャンマー、コンゴ民主共和国(DRC)などにおける人びとの窮状や、結核や子どもの栄養失調がもたらす犠牲などが含まれている。

アメリカのテレビ報道を分析調査するオンラインジャーナル「The Tyndall Report」の発行者であるアンドリュー・ティンドルによれば、MSFが2007年のリストで取り上げた国・地域や背景が、アメリカ3大テレビネットワークの毎晩のニュース番組で取り上げられた時間は、2007年1月から11月までを合計しても、わずか18分間であったという。この18分間には、メディアの注目を大きく集めたミャンマーでのデモや米国人の多剤耐性結核患者の発見に関する報道は含まれていない。これらはミャンマーの少数民族への弾圧の状況や、HIV/エイズとの二重感染によって深刻化する耐性結核の蔓延といった人道上、医療上の問題には、ほとんど触れていないからである。チェチェン、スリランカ、そして政府軍と反政府軍との戦闘により多くの集落が焼き払われ、何万人もの人びとが安全を求めて、過酷な条件の森林地域に逃げ込んでいるCARについての報道は皆無だった。

MSFは1998年に初めて「10の最も報じられなかった人道的危機」を発表した。スーダン南部の絶望的な飢饉がアメリカのメディアでほとんど報道されなかった年である。このリストは、MSFの緊急医療活動を引き合いに出すことによって、メディアで必ずしも常に報道されるわけではない人道的危機の規模や深刻さに対する関心を呼び起こすことを目的としている。危機に対する有効な対策を引き出し、これを改善していく上で、メディアによる報道は不可欠である。

その一例が、子どもの栄養失調の問題である。栄養価の高いそのまま食べられる治療食品(RUF)を用いた栄養失調児の効果的な治療法についての報道が増えたことにより、現在の国際的な食糧援助政策を見直すべきだという意識が高まっている。

しかし、今も続く内戦や一般市民の大規模な避難によって荒廃しているDRCとコロンビアの両国は、ともに過去9回登場しており、このリストの常連である。また、チェチェン紛争による人道的影響も8回登場している。ソマリアは2007年のモガディシオ一帯で戦闘が再燃したことにより、7回目のリスト入りを果たした。この戦闘により数千人が殺害され、数十万人が自分の家からの避難を余儀なくされ、その結果病気や非常に不安定な生活環境に苦しんでいる。

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