グアテマラ:性暴力の被害者に治療を提供

2009年08月05日掲載

第18区。グアテマラシティでも最も暴力行為が頻発する地域 第18区。グアテマラシティでも最も暴力行為が頻発する地域

今では、グアテマラは世界で最も暴力行為の被害の多い国のひとつになっている。国境なき医師団(MSF)は首都グアテマラシティにおいて、最も大きな苦しみを抱えているにもかかわらず最低限の支援しか受けていない人びとである性暴力の被害者の治療にあたっている。

「最も大きな変化はいつも怯えてばかりいるようになったことです。以前も怯えてはいましたが、今は通りを一人で歩くことさえできなくなりました。知らない人や知らない男の人に会うのが恐ろしいのです。彼らが私の身体に触れると感じただけで、もうパニックに陥ってしまうのです。」

マリアは11月のあの日のことを生涯忘れることはないだろう。彼女は、単にバスに乗り、椅子に座っていただけだった。バスが自分の家から5区画ほどの地点にさしかかったとき、突然、黒塗りの車が道をふさぐと、覆面をした二人の男が乗り込んできて、マリアの頭に銃を押しつけた。マリアは後にMSFの心理療法士にこう語っている。「彼らは私に一緒に来るよう強要しました。私は目隠しをされ、知らない場所に連れて行かれました。男たちは全部で7人でした。彼らは私を散々殴りつけた後、レイプし始めたのです。」

マリアは性暴力の被害者であり、グアテマラで毎年レイプの被害に遭っていると推定される1万人の被害者のうちのひとりである。この中央アメリカの国は世界でも最も暴力行為の発生率が高い国のひとつである。国家当局は性暴力の被害者が治療を受けられるようにする手段と指導力を欠いている。MSFは2007年にプログラムを立ち上げ、今では年間100人の新規外来患者を対象として、医療面および心理面から治療を行っている。活動は治療だけにとどまらない。グアテマラシティにいるMSFチームは、教育や広報活動を通じて、性暴力は医学的緊急事態であること、そのための治療は可能であり、提供できることを関係当局、医学界、グアテマラの一般市民に示している。

近年、グアテマラでは暴力行為が著しく増加した。2009年の初頭には毎日ほぼ20件の殺害事件が起きた。そのほとんどがギャングがらみであった。3カ月間に、バス運転手ばかりが40人も狙われ、殺害された。理由は彼らの属しているバス会社が賄賂を払わなかったからだ。

この暴力行為に最も苦しめられているのは女性たちである。グアテマラにおけるMSFの心理療法コーディネーターであるメイラ・ロダスは説明する。「私たちの国にはいまだ解決されていない30年にわたる内戦の歴史があります。私たちは男性優位の社会に生きています。女性は力づくで手に入れる物として扱われています。ここでは女性であることはゴミ同然なのです。これは、私たちの患者たちが言っていたことです。」

これはまさに7人の男たちがマリアに行った行為そのものである。彼らは彼女を捕まえ、屈辱を与え、レイプした。そして信じられないほど残酷な行為を行った日の翌日、彼女を解放した。マリアは言う。「彼らから告発したら家族を殺すぞ、と言われました。だから告発しませんでした。」

マリアは地域の診療所の医師からMSFのプログラムを受けるようにと言われた。この17才の少女は回想する。「MSFではすぐに約15個の錠剤をくれました。でもその薬は好きになれませんでしたし、注射はもっと好きになれませんでした。私は妊娠していないか、あるいはHIV陽性ではないかと、とてもびくびくしていました。けれど、神のご加護と薬のおかげで、結果はすべて陰性でした。」

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