グアテマラ:増加する性暴力とMSFの活動

2009年03月05日掲載

2009年1月10日、数万人の人びとがグアテマラの首都・グアテマラシティで性暴力に反対するパレードに参加した。これは変化につながるのかが、注目されている。

家々をまわって人びとに説明する 家々をまわって人びとに説明する

このパレードを呼びかけたのがカトリック教会であったことから、意識向上につながることは間違いないと目されている。グアテマラシティの枢機卿は、性暴力のひどさは、人びとが恐怖の元に暮らすレベルにまで達しているとの声明を発表した。枢機卿の声明はグアテマラにおいて最も権威のある日刊紙とされているラ・プレンサ紙によっても支持されている。最近発表された調査によると、インタビューによる調査対象者の94%が1960年から1996年にかけてグアテマラを引き裂いた武力紛争の間よりも暴力を恐れていると回答した。グアテマラでは、2008年に6200人以上の人が殺害された。これは一日あたり約17人という数である。この増加は性暴力の被害者についてもあてはまる。2008年には1万件以上の性暴力被害がグアテマラ最高検察庁に報告されており、そのうち4600件は国境なき医師団(MSF)が活動している首都グアテマラシティの地区内で起こっている。

「私たちはこの国の中でも最も暴力事件の多い地域、特にグアテマラシティ近郊で活動しています」とグアテマラにおけるMSFのオペレーション・ディレクター、ファビオ・フォルジョーネは語る。「私たちのチームはグアテマラシティの近郊にある第7区と第18区にある診療所2ヵ所で活動しています。私たちはここで性暴力の被害者に医療と心理的支援を提供しています。これらの地域は『マラス』と呼ばれる、米国から強制送還された若者からなるギャングの強い影響下にあります。」

全てのグアテマラ人にとって路上は危険なところであるが、性暴力の被害にあうことが最も多い女性たちにとって、家庭はさらに危険な場所となっている。レイプの大多数が家庭で起こっており、家族もしくは知人によるものである。「多くの場合、女性たちは自分たちが被害者だということを知りません。『男性優位』の文化と女性の抑圧は、罪悪感にすらつながります。聞かれる機会も少ないため、被害者の女性たちは、自分たちの声を抑えてしまうのです」と、フォルジョーネは説明する。

グアテマラシティにおいて、MSFが主催する性暴力の対処法に関する講習会を受ける人びと。 グアテマラシティにおいて、MSFが主催する
性暴力の対処法に関する講習会を受ける人びと。

これらの犯罪が罪を問われることはほぼ100%なく、それが1月初頭に人びとがパレードに参加する一つの契機となった。フォルジョーネは指摘する。「MSFは法制度の活用ではなく、一般の人びと、特に潜在的な被害者に対して、レイプは医療的緊急事態なのだと説明することに活動の重点をおいています。これらの人びとは性感染症から守られ、心理療法士による治療を受ける機会を与えられるべきであり、そのために最も大事なことは、助けを即座に求めるということなのです。」

現地で活動するMSFチームは医療スタッフと心理療法士からなり、グアテマラシティにおける活動を強化している。チームは第7区と第18区に住んでいる女性たちがもし暴行を受けた時、どこに助けを求めればよいのか知っているように、講習会とディスカッションを主催している。

グアテマラにおけるMSFの性暴力対策プログラムは2007年に始まった。2008年末までに毎月80人以上の性暴力被害者が治療を受けた。この数は増加しつつあり、このプログラムが一般の人に知られつつあるものとみられている。

関連情報