グアテマラ:「熱帯性暴風雨「スタン」に見舞われた地での活動

2006年07月10日掲載

2005年10月、熱帯性暴風雨「スタン」が中米を襲った。数十万の人びとが家や家財を失い、安全な水を手に入れることもできなくなった。グァテマラのサンタ・ロサ県チキムリジャ地方で国境なき医師団(MSF)が行った緊急援助活動を、ローラン・ドゥデューが振り返る。ドゥデューはロジスティックス部門の監督を担当した。

MSFは2006年2月半ばの活動終了までに、数千の家族に生活必需物資を配布し、井戸を洗浄し、新たな井戸を掘り、すべてを失った家庭のために家屋を建設した。

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MSFは「スタン」の被害を受けたチキムリジャの住民の、どのようなニーズに応えたのですか?

  • 蓋つきバケツ
  • 歯ブラシ
  • 歯みがき粉
  • くし
  • 石けん
  • ナプキン
  • 水差し
  • 洗濯用洗剤
  • タオル
  • 消毒用塩素
  • 蚊帳

援助活動は、衛生用品キットなど救援物資の配給を主としました。水や動物を介して広がる病気が増える可能性があることを心配したからです。MSFは1ヵ月間に合計5千個のキットを約2万5千人の対象者に配布しました。当初は、保健省と現地当局が作成した被災者名簿に載っている人びとに加え、緊急シェルターに避難している3千人を対象としましたが、その後、移民労働者などの援助の対象から外れていた家庭が1900ほどあることが分かりました。彼らは名簿には載っていませんでしたが、明らかに援助を必要としていました。

2度にわたって行った配給の際には、蚊帳も配りました。1度目は11月15日に行い、9500張を配りました。1家庭に平均3張が届いた計算になります。2006年1月初旬に2度目の配布を行い、6千張を配りました。

幸いなことに病気の増加は見られませんでした。MSFはチキムリジャ地方の保健センター8ヵ所のネットワークを活用して疫学的監視システムを立ち上げ、A型肝炎、マラリア、デング熱や下痢症の発生を監視できるようにしました。これらの疾病が大幅に増加することはなく、MSFがさらに医療活動を続ける必要はないことが明らかになりました。

人びとにはその他にどのような困難に直面していましたか?

シェルターと水の入手が重大な問題でした。私たちは常に系統立てて水源調査を続ける必要がありました。MSFは当初の緊急段階ではトラックでの給水作業を行い、保健センター8ヵ所と別の給水地点4ヵ所での飲料水の確保に注力しました。また塩素の錠剤を配り、健康に関する啓発活動も実施して、水を媒介して伝染する病気の危険を減らせるように基本的な衛生上の習慣を行うよう教えました。人びとはこの啓発活動に積極的に応えてくれました。その後MSFは50の井戸を洗浄し、新たに33の井戸を掘り、水はより手に入りやすくなりました。他のNGOや保健省が井戸の洗浄活動を引き継ぎましたが、不幸にもきれいな水がないまま取り残された地域もありました。MSFは、援助体制からもれ落ちている人びとを探し出して援助することに力を入れました。

サンタ・ロサ県では「スタン」によって地すべりよりも洪水が多く発生したことが、すぐに明らかになりました。例えばロス・エスクラボス川の氾濫では、47軒の家が破壊されました。私たちは家を失った家族を支援するかどうかを検討し、支援することに決めました。MSFのような緊急医療援助を目的とする団体としては全く異例のことではありましたが、ニーズがあればそれに応える必要があるのです。MSFチームは木材などの建材や台所用品を提供し、すべてを完全に失った世帯のために47の家屋を建設しました。

熱帯性暴風雨「スタン」被害へのMSFの対応

サンタ・ロサ県チキムリジャでは、2005年10月から2006年2月にかけて緊急援助活動を実施した。衛生キットなどの救援物資と蚊帳を5千家族に配布し、新たに33の井戸を掘り、既存の50の井戸を洗浄、家と家財をすべて失った47家族のために家屋の建設を行った。

サンティアゴ・アティトラン市のソロラでは、2005年10月から12月にかけて、水・衛生プログラムを中心に緊急援助を行った。給水タンク3個を設置し、最初の週のうちに、避難生活を送る6千人に1日あたり7万4千リットルを供給できるようになった。一般に、1人1日あたり15~20リットルの水を必要とする。11月にはこのタンクを用いて、残りの1400人以上に1日あたり3万4千リットルの給水を続けた。MSFはまた災害発生直後から、疫学的監視と感染症抑制の面で現地の保健センターの支援を行った。心理ケア活動も実施した。

コアテペケでは2005年10月中旬から12月にかけて1万3500人の住民に、オコスでは2006年1月末まで4800人の住民に援助を行った。その内容は、抗レトロウイルス薬治療を受けるHIV/エイズ患者への薬の供給の確保、避難した人びとの医療ケア、疫学的監視、井戸の洗浄、飲料水の供給などであった。

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