ニジェール:MSF、髄膜炎対応を強化――従来とは異なる菌が流行

2015年05月14日掲載

髄膜炎患者を受け入れているMSF診療所 髄膜炎患者を受け入れているMSF診療所

ニジェール髄膜炎が広がっている。保健衛生当局によると、2015年5月8日までの統計で、亡くなった人は352人、確定診断の件数は5273件に上っている。患者数は首都ニアメが多く、5月第2週だけで1200人近くが入院した。

エチオピアからセネガルまで東西にのびる一帯は髄膜炎の流行が繰り返されていることから、“髄膜炎ベルト”と呼ばれている。ニジェールもその中に含まれている。以前から流行していた髄膜炎菌については集団予防接種などの対策がとられていた。しかし、今回は従来とは異なる菌が流行している。

国境なき医師団(MSF)は保健省と連携して活動を強化。ベッド数約430床を運営する態勢をとり、無償で医療援助を提供している。

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首都では1日100人が入院

髄膜炎の症状とみられるけいれんを起こして運ばれてきた患者 髄膜炎の症状とみられるけいれんを起こして
運ばれてきた患者

ニジェールでMSFの医療コーディネーターを務めるルイ・カクジ・ムトケ医師は「髄膜炎は、早期治療ができなければ、死亡率が50%に達します。回復しても神経系への障害が残ることもあります」と話す。

入院者数は現在、やや減少している。それでも、ニアメのラザレ診療所では1日160人から100人に減少したという水準で、警戒を緩めるわけにはいかない。トムケ医師は「人口が密集している都市部では、髄膜炎が流行するリスクが高まります」と指摘する。

MSFはラザレ診療所を支援している。3月23日の開所以降、3000人以上の入院治療を受け入れた。今後、ニアメ近郊の診療所にも支援を広げ、合併症がない患者の治療を担当する。また、救急車5台の体制で、重症者の搬送も行う予定だ。

子どもへのリスクが高い菌株が流行

髄膜炎を引き起こす菌は、5つの型(A、B、C、Y、W-135)がみとめられている。トムケ医師によると、W-135型とC型は若年層と子どもへのリスクが高い。一方、A型に対しては2010年に行われた集団予防接種で免疫ができているという。

西アフリカの髄膜炎はA型とC型が多い。この2型については2価ワクチンが存在している。しかし、ニジェールでは今回、W-135型とC型が流行している。これだけの規模での流行は初めてだ。W-135型とC型に対するワクチンの供給は限られているため、現在は患者の治療を優先している。できるだけ早い段階で治療すれば、感染拡大を抑え、死亡者数を減らすことができる。

集団予防接種を実施

ドッソ県では、ドゥチ地域内の農村部で、診断、医療データ収集、治療薬の提供を行っている。ニジェールでMSFの活動責任者を務めるジュリヤン・マテルは「住民は髄膜炎の危険性を知っているのですが、どうしようもないと感じているようです。病気の流行が続いているからです。しかし、予防できる病気で亡くなる人びとがいるという現実を見過ごすわけにはいきません」と話す。

MSFは保健省と連携し、予防接種チームも派遣している。バキン・タプキ、ルダ・グマンデ、メカルゴで約3万2000人を対象に予防接種を実施していく。マテルは「ニジェールは保健医療体制が弱く、疾病対策の経済的な負担に耐えられないこともあります。今回の髄膜炎流行は、医療体制に影響を与える可能性があります」と警鐘を鳴らす。

MSFはニジェールで、5歳未満の子どもを対象に外来栄養治療プログラムを支援している。経過観察が必要な重度栄養失調の子どもは病院に併設された栄養治療センターに入院させ、治療している。2014年は、急性栄養失調の子ども8万7000人と小児マラリアの子ども18万人にMSFなどが運営する医療施設で治療を提供した。

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