マラウイ:大規模洪水で被災地が孤立――MSFが緊急援助

2015年02月27日掲載

洪水発生から1週間ほどたった被災地(2015年1月17日撮影) 洪水発生から1週間ほどたった被災地
(2015年1月17日撮影)

アフリカ南東部のマラウイで2015年1月半ばから大規模な洪水が続き、被災地が孤立している。水は引き始めているものの、道路や橋が崩落したり川の新たな支流ができたりして交通が分断されているためだ。

国境なき医師団(MSF)は1月8日に緊急援助を開始。緊急対応チームが、HIV対策で現地入りしていた通常プログラムのスタッフやマラウイ保健省と連携し、被災者支援や感染症の流行予防を続けている。被災地ではコレラの報告が増えつつあり、大規模な流行の危険性が高まっている。

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移動手段はヘリか船

妊娠9ヵ月の女性をヘリで病院へと運ぶMSFスタッフ 妊娠9ヵ月の女性をヘリで病院へと運ぶMSFスタッフ

MSFは1月8日に緊急援助を開始した。マンゴチ、チクワワ、ネノの3郡を起点に、最もニーズの高いイースト・バンク地域を中心としたンサンジェ郡に重点を移している。

水位が低下した現在も、ンサンジェ郡では被災者のもとへ向かうことが難しい状況だ。シーレ川東岸では、唯一の道路が洪水で崩壊して"川"となってしまったため、車では到達できない。孤立化した地域には2万人が援助を待っているが、天候がよい時にヘリコプター、小型ボート、丸木舟で向かうしかない。

一方、シーレ川東岸北部への道はつながっているが、悪路が長距離にわたって続き、途中で13橋が崩落している。そのため、地域住民3万5000人との接触が非常に限定されている。

ンサンジェ郡の南端部には、特別な装置を備えたランドクルーザーでしか進入できない地域がある。シーレ川西岸のソルギン~マルカ間に避難した推計8万5000人のうち、一部の避難者とは接触が難しい状況だ。

ムワンザ郡では、コレラ流行の危険性をにらみ、診療所の設置を支援している。さらに、隣国モザンビークのモアティーズ地区とテテ市で、保健担当局のコレラ流行対策に協力し、ベッド数40床と100床の専門治療センターをそれぞれ開設した。

隣国にまで広がるコレラ危機

避難キャンプでMSF小児科医の診察を受ける赤ちゃん 避難キャンプでMSF小児科医の診察を受ける赤ちゃん

ンサンジェ郡の中心都市とイースト・バンク地域では推計14万人が被災している。コレラ流行の危険性が高まっている。MSFは、ンサンジェ郡でマラウイ保健省を支援し、緊急援助を行っている唯一の医療・人道援助団体だ。

ンサンジェ郡南部のムベンジェ、ルルウエ、ンカンデ、ンダメラで、2月18日までに、亡くなった1人を含む20人のコレラ症例が報告された。MSFはこの4ヵ所で保健省のコレラ治療施設の立ち上げに協力。経口補水液、テント、塩素系消毒剤、石けん、長靴などの配布を行っている。

一方、隣国モザンビークでは2400人がコレラに感染し、そのうち28人が亡くなっている。流行地域の1つのテテ州がマラウイと国境を接している。MSFはテテ州とモアティーズ州の2つのコレラ治療センター(モザンビーク保健省と共同運営)で、計100人以上を治療している。

マラウイでMSF活動責任者を務めるアモリー・グレゴワールは「コレラの疑いで、マラウイで受け入れた患者の大部分が、モザンビークのテテ州ムタララ郡から来たと話しています。ムタララは小規模の"闇鉱山"が多い場所です。そこで働く若者などに症状が現れ、亡くなった人も出たことから、出身地のマラウイに避難したとのことでした」と話す。

MSFは2000人分のコレラ対策キットを調達済みで、必要に応じてさらに大規模なコレラ治療センターの設置・運営を支援する態勢も整えている。

さらに、はしかやマラリアの大流行も想定している。これまでのところ、風しんが1例で、はしかは報告されてないが、流行リスクは依然として高い。各地の保健担当局と世界保健機関(WHO)が進めているワクチン接種計画を支援している。

マラウイの洪水に対するMSFの緊急援助――2015年1月8日~2月17日
診療 1万4458件
飲料水 2249セット(1セット=240リットル、12万3695人の3週間分の量)
その他の給水 1日10万リットル(配給対象者=1万6000人)
蚊帳 1万5000人分を設置
トイレ 88基を設置
シャワー 8台を仮設
大型テント 5000人分を設置
スタッフ数 緊急援助スタッフ40人(現地35人、外国人5人)通常プログラムのスタッフ30人
その他の活動 井戸の浄化と消毒、くみ上げポンプの設置、疫学的監視など

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