南スーダン:要援助地域にさらなる避難者――MSF、緊急援助を開始

2015年02月09日掲載

北バハル・エル・ガザル州に到着した避難者たち 北バハル・エル・ガザル州に到着した避難者たち

南スーダンスーダンが領有権をめぐって争っている紛争地域から、身一つで逃れてきた人びとが、食糧、水、医療の大幅な不足に苦しんでいる。国境なき医師団(MSF)は、南スーダンの北バハル・エル・ガザル州で緊急援助を開始した。現地は以前から深刻な人道的危機に直面していたが、その状況がさらに悪化している。

現地の管轄局によると、同州のアウェイル・ノース郡には、2014年10月以降、1542世帯が到着した。数はさらに増えている。大半の人が、アビエイ地域の紛争と民兵の襲撃から逃れてきた。また、2014年初頭から反政府武装勢力と南スーダン政府軍の衝突が続いているユニティー州や上ナイル州から逃れてきた人もいる。

MSFはアウェイル・ノース郡で継続的に活動する唯一の国際NGO。同郡では、カレクと複数の避難キャンプを対象に1次診療所とアウトリーチ活動を運営している。

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食料、水、医療、衛生施設が不足

人びとは何も持ち出せずに住まいを離れ、何週間も歩いて国内避難民キャンプにたどり着く。現地は焼け付くように暑い。

ユニティー州アビエムノム出身のアボク・マウェインさんは「地元が民兵に攻撃され、住まいの村から逃げてきたのです。夜間だったので、混乱の中、子どもや夫ともはぐれてしまいました。いまだに消息が分かりません」と話す。彼女現在、アウェイル・ノース郡カレクのキャンプに滞在している。

食料、清潔な水、医療が不足している。新たに到着した人びとの多くは、手掘りの井戸からくみ上げた水だけでしのいでいる。衛生設備も足りず、屋外での排せつを余儀なくされている。

MSFが新規避難者を対象に開始した緊急援助では、医療のほか、水を運ぶための容器や調理用なべ、石けん、毛布などの必需品を配布している。生後半年~5歳未満の子どものいる世帯には栄養失調予防として栄養補助食も提供している。現在も配布を続けており、既に1041世帯に配り終えた。

保健医療体制がさらに悪化

MSFから予防接種を受ける少年 MSFから予防接種を受ける少年

マラリア、呼吸器感染症、下痢の治療も行っており、5歳未満児には予防接種を提供している。また、比較的新しいアコン・キャンプでは、533人の子どもに、はしかの集団予防接種を完了。リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)チームが妊婦59人に産前ケアも提供している。

こうした医療援助の一方、適切な給排水・衛生設備の不足が原因で、水系感染症のリスクが高まっている。あるキャンプでは、MSFは1週間で42人の急性水様性下痢の子どもを治療した。

MSF活動責任者のアンドリュー・ゼイドルは「アウェイル・ノース郡の人道的状況は以前から深刻で、保健医療体制は慢性的な問題を抱えています。そこに多数の新規避難者が加わり、いっそう悪化しているのです」と説明する。

栄養状態が悪化する恐れも

飢えをしのぐための食糧としている木の実 飢えをしのぐための食糧としている木の実

新規避難者は木の枝や草で質素な家屋を建てるしかなく、わずかな水と食糧を地域住民と共有している。住民の中にも過去に紛争から逃れた経験を持つ人が多い。2014年は降水量の不足で凶作となり、2014年10月以前から避難キャンプに滞在している人びとは、それ以降にやって来た人びとと共有できるだけの食糧を持っていなかった。

そこで新規避難者は、自生のタマリンドの果実やアクウォルという木の葉を採ってしのいでいる。バラニテスの木の実を何時間もかけて木切れで割り、中の種を煮て食用にする人や、拾い集めた薪や草で編んだむしろを市場で売って食費を稼ぐ人もいる。

ゼイドルは「MSFは郡内10~11ヵ所のキャンプで援助を行っています。新規避難者を対象に必需品の配布活動を拡大する予定です。ただ、キャンプの滞在者は困窮しており、さらなる緊急援助が必要です。一定水準の援助が提供されなければ、今後何ヵ月かのうちに栄養状態が悪化する恐れもあるでしょう。他団体・機関も現地で支援を開始してください」と呼びかけている。

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