フィリピン:台風が横断、復興途上の被災地は?

2014年12月08日掲載

フィリピンが史上最大級の台風30号の直撃を受けてから1年と1ヵ月。再び猛烈な台風22号が上陸した。1年前に被災して復興途上のサマール島、レイテ島は再び暴風雨に襲われた。サマール島は大半の地域で電話や通信が途絶えている。レイテ島のタクロバンでは電力供給がストップしているが、台風一過後は市街地に人の姿が戻り始めているという。現地の活動責任者を務める国境なき医師団(MSF)のオリビエ・オーブリーに聞いた。

被災地の現状を教えてください。

台風22号は12月6日午後9時ごろにサマール島東部のドロレスに上陸しました。ドロレスは大きな町ですが、人口密度はレイテ島のタクロバン市ほど高くありません。タクロバンは昨年の台風30号直撃で甚大な被害を受けた地域です。

12月7日時点でも情報が少なく、サマール島の大部分で電力と通信が途絶えているため、正確な状況はつかめません。まだ公式の報道がなく、今のところ把握できる情報はMSFのネットワークを介したものだけです。建物の損壊、洪水の規模、被災者の数などの被害状況は依然として不明です。

収集できたわずかな情報から考えると、広い地域で洪水が起きていることが心配です。洪水被害を受けている地域に機能を維持している保健医療施設があるか、その施設で医療スタッフが業務を行える状況にあるかも現時点ではわかりません。

今のところ、確かな情報は全て、MSFが州立病院で母子保健プログラムを展開しているタクロバンからのものです。台風通過中の夜間にも連絡を取り合い、暴風雨の報告を受けました。タクロバンは電力供給が途絶え、街路の電線も切れているそうです。しかし、現地の病院は浸水を免れ、患者も来院できています。12月6日の夜に数件、12月7日午前にも2件、MSFのもとでの出産がありました。

タクロバンでは、12月7日午前も風雨が残っていたようですが、市街には人びとの姿が戻り、バイクやジープニー(乗り合いタクシー)も何台か走っているとのことです。

MSFはどのように展開していく予定ですか

タクロバンの州立病院で活動中のMSFチームは、数日前から、病院機能の維持と台風通過中の患者や医療機器の安全確保に備えてきました。患者は全て病院内の安全な場所に避難しており、負傷した人はいません。ただ、手術室が損壊し、使用できなくなっています。

MSFでは現在、外科チームの被災地入りの準備を進めています。MSF日本からの派遣で、外科医、麻酔科医、手術室看護師の3人構成です。目的は、速やかに活動を開始し、保健省所属の医療チームの支援も行える拠点病院を見つける。

被災地ではどのような健康問題が予想されますか。

外傷患者が最も多いと予想されます。だからこそ、外科チームを可能な限り早く派遣しなければなりません。ただ、糖尿病などの慢性疾患治療にも備えなければなりません。

昨年の台風30号の災害時は、慢性疾患診療は想定外でした。フィリピンは糖尿病の有病率が高く、治療を受けられない多数の患者への対応が求められる可能性もあります。

そのほか、出産も引き続き見込まれます。現時点で既に、病院での出産を望む女性の来院が相次いでいます。

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