インド:カラアザールの治療時間が大幅短縮――患者の負担軽減へ

2014年11月25日掲載

子供たちに薬を処方するMSF看護師(ビハール州、2014年2月6日) 子供たちに薬を処方するMSF看護師
(ビハール州、2014年2月6日)

ハエを媒介に世界の貧困地域で蔓延するカラアザール(内臓リーシュマニア症)。従来28日間を要していたこの感染症の治療時間は、今後わずか2時間になる。カラアザールの優先的治療として、アムホテリシンBリポゾーム製剤の単回投与(SD LAmB)がインドのビハール州の地域診療所で受けられるようになった。ビハールは国内でもカラアザールのまん延が深刻な州の1つ。

記事を全文読む

より安全で効果的な治療は、根絶に向けた第一歩

カルアザール治療薬を投与するMSF看護師(ビハール州、2014年2月4日) カルアザール治療薬を投与するMSF看護師
(ビハール州、2014年2月4日)

国境なき医師団(MSF)は、アムホテリシンBリポゾーム製剤をカラアザール患者の第1選択薬として単回投与(10mg/kg)する新たな治療プロトコルの実践に関して、州政府への支援を拡大する。

今後州内の全ての公立地域診療所で提供されるこの新治療法は、28日間の経口投与が必要なミルテホシンを用いていた旧来の治療法に継ぐもの。以前は保健医療施設までの距離や、気候・社会・経済的な要因により、28日間の治療を続けられない人も多かった。単回投与のアムホテリシンBリポゾーム製剤は静脈点滴で投与する効果的な治療薬で、所要時間は2時間ほど。治療工程の集約により患者の負担が軽減されることで、妊婦や小児(※)をはじめどんな患者にも使用でき、地域診療所から病院までさまざまな水準の医療現場で治療を施すことができる。

MSF熱帯医学顧問のニネス・リマは、「この治療は無償で、安全で、効果的です。放置すれば命にかかわる病気の治療が1回の投与で完了できるようになり、多くの患者が救われます。域内のカラアザール根絶に一歩近づきました」と説明する。

特にまん延の深刻なビハール州では今後、全ての診療所で単回投与のアムホテリシンBリポゾーム製剤を用いたカラアザール診療が行えるようになる見込みだ。より安全な治療の提供と、州の年間罹患率を人口1万人に対し1人未満に減らす根絶目標への道が開かれた。

  • ミルテホシンは妊婦に投与できない。また、妊娠可能年齢の女性には、治療期間中および治療完了後2ヵ月間の避妊が確実でない限り、処方は勧められない。カラアザール後皮膚リーシュマニア症の女性患者の場合、治療完了後に必要な避妊期間は5ヵ月となる。

ハエを媒介に貧困地域で蔓延

サシチョウバエに刺されて感染するカラアザールは動物媒介性疾患で、世界76ヵ国の風土病。貧困地域でのまん延が典型で、治療しなければ、死はほぼ免れない。インドではビハール州がカラアザール被害の中心地であり、州内38県のうち33県で流行。感染リスクのある3500万人近くが、429区約1万1500村に散らばっている。

MSFは2007年からビハール州のカラアザール対策の最前線に立っており、1万1000人余りにアムホテリシンBリポゾーム製剤治療を無償で提供し、高い治癒率を達成してきた。インド保健家族福祉省、国家媒介性感染症制御計画(NVBDCP)、ラジェンドラ記念医学研究所(RMRI)、共同事業体「kalaCORE」によるカラアザール根絶活動の支援を拡大し、流行地域に住む感染リスクのある住民の健康状態向上に貢献している。

関連情報