MSF活動まとめ――終りの見えない紛争の中で――アフリカ地域

2014年11月17日掲載

国境なき医師団(MSF)の活動で報道各社に取り上げられるものは現在、西アフリカのエボラ出血熱の対応に関するものが大半となっています。一方、アフリカ中部に目を転じると、そこには紛争で生活を奪われ、病院にも行けない人びとがMSFの援助で命をつないでいます。本記事では、2014年10月末時点で継続している活動の一端をご紹介します。

南スーダン

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紛争から避難した人びとのキャンプに雨期の大洪水が……MSFは緊急対応を行った(2014年8月、ベンティウにて) 紛争から避難した人びとのキャンプに雨期の大洪水が……
MSFは緊急対応を行った(2014年8月、ベンティウにて)

ユニティー州ベンティウ周辺で、10月30日、激しい抗争があり、多数の負傷者が出た。避難施設内で病院を運営しているMSFは、銃創などの急患12人を治療。9件の手術を行った。中には胸を打たれた妊婦もいたが、お腹の中の子どもとともに容体は安定している。MSFのエルナ・ライニールセ医師は「あらゆる方向から流れ弾が飛んで来るため、病院内の移動さえ安全とは言えません。銃撃や砲撃がいつ始まるかもわからず、全く予断を許さない状況です」と報告している。

ジョングレイ州ランキエンで、MSFはカラアザールの大規模感染への対応を続けている。2014年は11月3日までに4000人以上を治療した。

中央アフリカ共和国

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深刻な性暴力の被害が続いており、MSFは首都バンギ市内の診療所でカウンセリングと治療の提供を続けている。専門診療所は2ヵ所あり、いずれも7月に開設した。MSFの診療療法士、ヘレン・トマスは「性暴力の被害者の心の傷は、一生残ることもあります。ただ、家族の大きな支えがあれば希望も見えてくるのです。事件は忘れられなくても、立ち直り、深刻な心的外傷を引きずらずに生きていくことができるでしょう」と話す。

コンゴ民主共和国

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MSFは地域の総合病院の支援も行っている(北キブ州ルチュル) MSFは地域の総合病院の支援も行っている
(北キブ州ルチュル)

重病の妻と赤ちゃんを連れてバイクタクシーに乗りこみ、自宅からカタンガ州シャムワナのMSF病院を目指した男性。途中、妻は「もう移動に耐えられない」と訴え、子どもは意識を失った。男性はタクシー運転手に、子どもを病院まで送り届けてくれるように依頼。自身はその場に残って妻の看病を続けた。

必死の看病も実らず、妻は息を引き取った。一方、運転手は赤ちゃんを無事にMSFのもとへ送り届け、その結果、一命を取り留めた。妻の葬儀を済ませた男性が病院に到着。今後は姉妹の手を借りて赤ちゃんを育てていくという。

オリエンタル州ゲティのある女性は、畑のそばを歩いている時に襲われ、民兵3人から集団暴行を受けた。紛争下の同地域では性暴力事件が日常的に発生している。女性は、MSFが性暴力被害者に提供しているプログラムで、治療と心理ケアを受けた。2013年1月~2014年10月で、MSFが治療した性暴力の被害者は602人。そのうち、15人は5歳未満児だった。

MSFは新生児への予防接種も提供している(南キブ州バラカ) MSFは新生児への予防接種も提供している
(南キブ州バラカ)

オリエンタル州オー・ウエレ地方では、MSFのアフリカ睡眠病・移動診療チーム27が活動している。起床は夜明け前。道のなくなるところまでは自動車で行き、その後の3時間はブッシュを徒歩で抜け、孤立した村落の住民に検査と治療を行う。アフリカ睡眠病は"顧みられない病気"の1つで、治療しなければ命にかかわる。検査結果が陽性となった人の中に妊婦のマルセリーヌさんもいた。注射と継続的な治療が、マルセリーヌさんとお腹の中の赤ちゃんの命を救うだろう。

HIVに母子感染し、幼年期には低水準の治療と中断を繰り返したことで、第1・第2選択の抗レトロウイルス薬(ARV)への耐性ができてしまったとみられる少女(12歳)の治療をMSFが担当している。首都キンシャサの病院へ搬送された時にはすでに意識がなく、けいれんしており、危険な状態だった。治療は数時間に及んだが、意識を回復した後は食欲も戻った。まだ、衰弱・消耗が見られるが、容体は安定している。

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