世界マラリアデー2012:薬剤耐性を抑止する対策が急務

2012年04月25日掲載

4月25日は世界マラリアデー。100カ国で3億人が感染している重大な病気です。

マラリアの検査を受ける子ども マラリアの検査を受ける子ども

マラリアで年間100万人以上の人が命を落としている。各国で対策がとられ、治療の革新が進んでいるにもかかわらず、国境なき医師団(MSF)が活動しているアフリカ諸国では、いまもマラリアの感染率が高い。一方、東南アジアでは薬剤耐性マラリアの症例が相次いで報告されている。マラリア対策の現状と課題を報告する。

MSFによる治療者数(2011年)は、外来患者が36万4848人、入院患者が1万503人。大半が重症者で、そのうち半数はコンゴ民主共和国だった。MSFはACTと簡易検査の導入に先駆的な役割を果たしてきた。2002年から、確定診断・治療に先立ち簡易検査を実施することを提唱している。これは世界保健機関(WHO)のガイドラインに採用されている。

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アフリカで感染率が急上昇

コンゴ民主共和国のマラリア感染拡大に素早い対応を!

コンゴ民主共和国の複数の州では、直近の6ヵ月で危機水準を超える感染率が記録された。予防体制の不備、保健医療制度の機能不全と組織の脆弱性、検査と薬剤の不足が理由と考えられる。

一方、タイ、ミャンマー、カンボジアでは、「薬剤耐性マラリア」の症例が相次いで報告されている。アルテミシニン系の薬と有効性が残っている抗マラリア薬の併用療法(ACT)が、薬剤耐性マラリアに効く唯一の治療法だ。

MSFも2010年、30ヵ国以上で約100万人の患者にACTを行った。ただ、ACTに対しても耐性が出始めている。症例はアフリカでも報告されているが、有効な治療法が他になく、問題を悪化させている。

アフリカには、薬剤耐性マラリアの発生につながるあらゆる要因がある。質の高い医療を受ける機会が極端に限られているため、粗悪な薬剤や偽造薬が使用されてしまう。

費用が安い簡易診断検査を用いるとマラリア感染の有無や種類を15分で判定でき、適切な薬の分量を判断できる。しかし、治療費を抑えるために薬を決められた分量より少なく使っているケースがある。あるいは、適切な診断がないまま、薬が過剰に使われていることもある。

また、完治するまで治療を続ける重要性が十分に認識されておらず、治療を中断してしまうこともある。これらのケースが薬剤耐性マラリアの原因になっている。

予防・診断・治療を徹底、薬効減退に備えも

各国政府は、効果がより高いマラリア予防・治療活動の促進、健康教育への投資、治療を貫徹させる努力、感染防止策など複数の対策を速やかに実践しなくてはならない。

さらに、薬効を定期的に検査し、減退が確認された際に対応できる備えが必要だ。すでに薬剤耐性や薬効の減退が見られる地域では、薬剤耐性マラリアの拡大を抑えるための集中的な対策が求められる。

マラリアの感染状況の監視、予防、早期診断、治療を一体とした対策が、より多くの命を救うことにつながる。まだ薬効を失っていない抗マラリア薬への耐性を抑止するか、少なくともできるだけ遅らせることにもつながるだろう。

なお、MSFは子どもの重症マラリア患者にアーテスネート注射を用いることも提唱している。

報告書「アフリカで重症マラリアから命を救う:効果的な治療薬への切り替えを」(2012年4月更新)

4ユーロ(約430円)
0.40~1.60ユーロ(約43円~約172円)
0.40ユーロ(約43円)
ACT治療(錠剤3日分×13人分):10ユーロ(約1070円)
ASAQまたはコアルテム治療
・3歳以下の治療(3日間):0.31ユーロ(約33円)~0.95ユーロ(約102円)
・成人の治療(3日間):0.77ユーロ(約83円)~1.05ユーロ(約113円)
重症マラリア用アーテスネート注射薬(子ども用):2.30ユーロ(約249円)

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