WHOの『世界結核報告書2014』に対するMSFの見解

2014年10月23日掲載

世界保健機関(WHO)は10月22日、『世界結核報告書』を発行した。結核の罹患率と致死率の下降が続く一方で、国境なき医師団(MSF)は薬剤耐性結核(DR-TB)流行の憂慮すべき傾向を指摘し、その対策を急ぐよう呼び掛けている。

    主な懸念点
  • 一部の国の報告ではDR-TBの人から人への感染例が明らかに増加している。またそれら新規症例の最大35%が多剤耐性結核(MDR-TB)となっている。
  • 超多剤耐性結核(XDR-TB)も旧ソビエト連邦諸国で拡大傾向にあり、DR-TB症例のうち、推計20%を占めている。
  • MDR-TBの確定診断が増加しているが、全世界のMDR-TB感染者の約5人に1人しか適切な治療を受けておらず、未治療感染者の数が年々増えている。

MSF必須医薬品キャンペーン結核アドバイザーのグラニア・ブリグデンのコメント:

「旧ソ連諸国におけるDR-TBの人から人の感染拡大と、MDR-TBとXDR-TBの症例数増加は深刻な問題です。一方、適切な治療の普及は大幅に遅れており、MDR-TB感染者のわずか5人に1人しか治療を受けていません。未治療の人びとは死を待つのみで、家族や居住地域住民の感染リスクも高まり、流行は悪化の一途をたどっています。そしてこうした報告をきっかけに各国政府、資金拠出者、製薬企業は、DR-TB対策の拡大・向上を急がなくてはなりません。

いま必要なのは根本からの改革です。まず、DR-TBの拡大を許す後退を改めなければなりません。治療の計画と実践をWHOの勧告に対応させ、適切で遅滞ない診断のため、患者の薬剤感受性検査を徹底しなければなりません。2つの新しい抗結核薬の登場から1年余りが経過し、既存薬の新たな用法にXDR-TBの治療効果が期待されていますが、よりよい治療の選択肢はいまなお大部分の患者には手の届かないところにあるのです。こうした状況を覆すには、費用負担が重すぎない新たな診療方法開発のための連携と投資を拡大するほかありません」

MSFは活動地におけるDR-TBの現状について2014年10月30日、報告書『Out of Step』を発行する予定。同報告書は、結核の高まん延国8ヵ国を対象とした調査をもとに、DR-TB対策の効果をそぐ5つの致命的な欠点を指摘し、その危機的状況の解決策を提唱する。多くの命を救うための有望な新薬の導入検討もその一例となっている。

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