シエラレオネ:エボラ流行で"2次被害"――MSF、小児科・産科援助を中断

2014年10月20日掲載

エボラ治療センターで活動手順を再確認するMSFスタッフ エボラ治療センターで活動手順を再確認するMSFスタッフ

エボラ出血熱の流行が続くシエラレオネで、国境なき医師団(MSF)は、南部州ボー地区のゴンダマ基幹病院を拠点に行っていた通常の医療援助活動を一時中止する。エボラ流行の緊急対応の影響でゴンダマ基幹病院での医療援助の機能を十分に維持できなり、苦渋の決断に踏み切った。

患者の治療を行うことと、医療スタッフがエボラに感染することを防ぐ対策を、高い水準で両立させることが難しくなっているため。活動再開を目指し、当面はエボラ対策に注力する

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7月に産科を閉鎖、10月には小児科も

ゴンダマ基幹病院で行っていた母子保健・産科医療(2014年3月撮影) ゴンダマ基幹病院で行っていた母子保健・産科医療
(2014年3月撮影)

シエラレオネでエボラが流行する前は、ゴンダマ基幹病院は200床を備える中核医療施設として、小児科(15歳未満)と産婦人科の救急医療を提供。受入件数は小児科で8000件、産婦人科救急で2500件を超え、ボー地区と周辺地域の大勢の人びとの命綱だった。

しかし、エボラの流行が急速に拡大した2014年7月、スタッフを対象としたエボラ予防措置が最低限のレベルでしか講じられず、感染リスクが高すぎると判断。やむなく産科部門を閉鎖した。続いて10月15日には、新規小児患者の受入も中止した。

ただ、人びとがエボラ感染を恐れて病人やけが人を病院に連れて行こうとしなくなっているため、この数週間はの治療実績は前年同期よりもはるかに低調で、10月中旬には入院患者が50人を下回っていた。

「患者とスタッフの両方を危険にさらす恐れ」

MSFオペレーション・ディレクターのブリス・デ・ル・ヴィンヌは「MSFの活動がボー地区内外の大勢の女性と子どもにとって頼みの綱であることがわかっていただけに、非常につらい決断でした。しかし、スタッフの安全を最優先せざるをえません。病院内でのエボラ感染制御を徹底できない現状で医療援助を続けることは、患者とスタッフの両方を危険にさらすことになります」と説明する。

MSFは、ゴンダマ基幹病院での援助活動をいち早く再開したと考えている。そのためには、エボラ対策に全力を注がなければならない。今回の活動中止の決断はエボラ流行の"2次被害"というべきもので、デ・ル・ヴィンヌは「数ヵ月以内に活動を再開し、お母さんや子どもたちの治療に専念できることを心から願っています」と話す。

MSFはシエラレオネで、現地スタッフ1376人と各事務局から派遣された外国人スタッフ107人が活動している。ボー地区とカイラフン地区の2ヵ所でエボラ治療センターを運営している。同国では、MSFは2014年5月にエボラ対応を開始。これまでに843人を受け入れ、感染確定は584人。このうち229人が回復している。

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