ザンビア:60万人の子どもにはしかの予防接種

2011年05月25日掲載

国境なき医師団(MSF)は現在、ザンビアの保健省と連携して約60万人の子どもたちを対象にはしかの集団予防接種を行っている。MSFは、今年に入ってザンビア北部を中心に数千人に上る子どもたちがはしかに感染した事態を受け、緊急対応を開始した。

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感染者数の多い北部2州で活動開始

MSFはザンビア保健省とともにはしかの予防接種を行っている。 MSFはザンビア保健省とともにはしかの予防接種を行っている。

MSFは、非常に感染力の強い病気であるはしかの流行に対応するため、保健省職員に対する研修や技術支援と、医療物資やワクチンの提供を通じて、生後6ヵ月から15歳までの子どもたちを対象とした集団予防接種を支援している。MSFがまず活動を開始したのは、はしかが拡大を続けるザンビアの中でも特に感染した子どもの数が多い、ルアプラ州と北部州の2つの地域である。今年初頭から現在までに、ルアプラ州で3043人、北部州では4670人の子どもたちが感染している。

集団予防接種は5月7日に始まり、ルアプラ州と北部州内の合計8つの地区で、対象者全員が接種を終えるまで3週間にわたって行われる予定である。活動開始から2週間で、すでに約27万人の子どもたちが接種を終えた。

情報提供が将来の流行を抑える鍵

接種を受けた子は記録のカードをもらう。 接種を受けた子は記録のカードをもらう。

MSFははしかに対応する活動の一環として、既に発症した患者の治療もしている。患者に多く見られる合併症は、肺炎、脱水症状、栄養失調である。はしかが引き起こすこうした合併症から特に深刻な影響を受けやすいのが、HIVとともに生きる人びとである。ザンビアには約100万人のHIV陽性者がいる。MSFが現地で人びとに伝えようとしている主要なメッセージの1つは、HIV陽性の子どもたちがはしかの予防接種を受けても危険はなく、むしろいっそう感染を防ぐ必要があるという事実である。

MSFの緊急対応コーディネーター、フェデリカ・ノガロットは語る。
「この数週間、ザンビアの人びとにはしか予防の行動を起こすよう働きかけていますが、反応は驚くほど積極的です。毎日数千人の子どもたちが予防接種を受けています」。住民の反応は良い徴候だが、今後も持続的なキャンペーンを通じて同じ反応を保っていくことが必要である。ノガロットはさらに続ける。「ターゲットとする子どもにたどりつくことが非常に重要です。チームは、到達困難なへき地の村すべてに赴かなければなりません。そうしなければ、来年はしかが再流行する危険があるのです」。

流行に歯止めをかける

診療所や教会で活動するチームもあるが、学校で活動するチームもあり、そこでは子どもたちが列をなして予防接種を受けていた。子どもたちの登録をするため北部州の町カサマの予防接種会場にやってきたマイケルと名乗る男性は、昨年はしかで7歳の息子を亡くしたと語った。マイケルは言う。「息子は、はしか感染が原因で肺炎にかかって死にました。だから、この集団予防接種はとても大切なのです。もうザンビアではしかが流行しないよう願っています。はしかによって命が奪われることを、皆が知る必要があります」。

今後、チームは都市部を出て、住民が医療を受ける機会がほとんどない農村部で活動する予定である。船でしか行けないへき地、チルビにも赴くことになっている。

ザンビアのはしか流行の背景

ザンビアでは2003年にはしかが大流行したが、15歳までの子どもを対象にした全国集団予防接種が行われた結果、患者数は短期間で劇的に減少した。

その後、症例数は2010年まで散発的なものにとどまっていたが、2010年には、はしかが再流行して合計1万5000人が感染した。2011年に入って、MSFが活動する地域だけでわずか4ヵ月間に約1万件の感染例が確認されている。

MSFは2001年からザンビアで活動しており、この8年間は首都ルサカを中心にコレラの予防と治療を支援してきた。昨年はルサカにある大学付属病院ではしかの症例管理の支援も行った。また、HIVとともに生きる人びとへのサービス提供においても保健省を支援している。さらに昨年は北部州のルウィングで包括的なリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)プログラムも立ち上げた。このプログラムにはHIVの母子感染予防も含まれている。

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