移民500人以上がセウタとメリリャから追い出され、モロッコ南部に放置――MSFは、医療も援助も受けられない場所への追放を非難

2005年10月14日掲載

国境なき医師団(MSF)は10月6日夜、モロッコ当局により食糧も水もない同国南部の砂漠地帯に追放されたサハラ以南アフリカ出身の500人以上の移民の行方を追った。移民によると、モロッコ警察は同国にある飛び地のスペイン領土、セウタおよびメリリャなどから彼らを追い出した。その後バスとトラックに移民を乗せ、かつての移送先であるアルジェリアとの国境近くの町、ウジュダからさらに南へ約600km離れた砂漠地帯まで移動させたという。

MSFはすでに、外傷や打撲傷を負った移民50人以上を治療した。なかにはセウタやメリリャにフェンスを飛び越えて入ろうとした人もおり、打撲傷は落下もしくは偶発的な事故によって負った可能性もある。しかしその他の外傷は明らかにゴム弾や殴打によるものであり、移民がスペインおよびモロッコ警察による暴力の犠牲となっていることは明白である。

MSFが移民を見つけたのはエル・アウイナ・スウアタル近くだが、移民らはそこから東へ30km行ったアルジェリア国境付近で放置されたと説明する。このあたりは食糧も水も手に入らない辺境の砂漠地帯である。MSFはこの事態に対し、医療の提供、水、食糧、毛布の配給などの緊急援助を開始した。また追加の物資をタンジェから輸送する準備を進めている。

MSFは当面、妊婦、子ども、負傷者などもっとも体力のない人びとを中心に治療を提供していく。また北方の町ブアルファの病院へ重傷者6人の搬送を行う。

また、アルジェリアとの国境付近で移民の遺体を見たと話す人もおり、MSFはこの情報の確認を進めている。一方MSFは、移民のなかで健康状態が良好な人が、スペインとの国境へ再びたどり着こうと、砂漠を横断する約600kmの長旅にすでに出発したことを確認した。

モロッコ南部での緊急援助活動の責任者、ハビエル・ガバルドン医師はこの状況を、「当局は、水も食糧もなく、医療も人道援助も受けられない場所に移民を追放し、放置しています。移民のなかには病人やけが人も多く、彼らの苦難は増すばかりです。」と非難する。

スペイン・モロッコ政府間で合意されたように、基本的人権を保障する能力をほとんど持たない国へ移民を帰すことは、両国が調印している拷問等禁止条約(※)の第3条に違反する。同条項は、「いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない」と定めている。

  • 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は、刑罰に関する条約

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