グルジア・南オセチア自治州における武力衝突

2008年08月14日掲載

グルジアからの分離独立を求めている南オセチア自治州内での武力紛争勃発に続き、ロシア軍がグルジア領内への攻撃を行った。国境なき医師団(MSF)は、この紛争で避難した数千人の状況を懸念しており、また、グルジアやアブハジア自治共和国でMSFが実施している薬剤耐性結核の治療プログラムが中断される可能性についても警戒している。

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ロシア国境の北側へ避難した人びとの状況調査

南オセチアからの避難民 南オセチアからの避難民

8月第2週の週末に、MSFの2つの調査チームがロシア領の北オセチア自治州に到着した。この地域には南オセチアでの紛争を逃れて、多くの避難民が流入すると見られていた。避難民の数の把握は難しいが、多くの人びとが紛争地域から避難したことは明らかである。そのほとんどが北オセチアを目指しているが、グルジア国内の他の地域を目指す人びともいる。

MSFのチームは避難民の援助ニーズを調査しており、スタッフや医療キット、救援物資を提供する準備ができている。現在、北オセチアに避難した人びとへの援助には、ロシア保健当局と非常事態省があたっているものとみられる。MSFはまた、現在立ち入ることのできない南オセチアに入れるよう努力している。

MSFはグルジアとアブハジアで、薬物耐性結核患者の治療を行っている。チームはグルジア国内の病院を支援し、紛争による避難民の援助ニーズを調査できるように準備を進めている。

グルジア国内の病院への支援と初期調査

グルジアの首都トビリシで活動するチームは、グルジア保健当局と協力して怪我や火傷を負った人に医薬品を提供し、国内の病院数ヵ所を支援する予定である。グルジア各地の病院では1200人近くの負傷者を受け入れて、グルジア人医師が治療にあたっている。

この他の調査は、8月12日にトビリシ周辺の避難民のキャンプで行う。キャンプはトビリシ市内に3ヵ所、周辺に5ヵ所ある。各キャンプでは数百人が生活している。

MSFチームはまた、南オセチアに入って現地での調査を試みる予定であるが、現時点では立ち入りができない。

薬剤耐性結核プログラムの継続に関する懸念

多剤耐性結核(MDR-TB)の患者に対して現在行っている治療の継続が、MSFチームにとって一番の懸念である。プログラムが数日でも中断されれば、患者の身体に深刻な影響を及ぼしかねないためである。

現時点では、2つのMDR-TB治療プログラムを継続する予定である。アブハジア自治共和国の首都スフミでは、現在も病院1ヵ所と車7台の移動診療所で80人の患者を治療している。グルジアのズグジジでは、120人近くの患者が治療を受けている。MSFの外国人派遣スタッフは市内から避難したが、現地スタッフが医療機関でケアを提供し続けている。しかし、現地スタッフが活動を継続しているにもかかわらず、3人の患者が既に病院を去り、その患者の治療に悪影響が及ぶことが懸念される。また、結核は接触感染症であるため、患者が病院を離れたことにより、彼らと接触する他の人びとに健康上の深刻なリスクをもたらす可能性もある。

スフミとズグジジのチームには、まだそれぞれ2週間分のMDR-TBの治療薬が残っている。しかし2週間後には、薬物分子の1つ(パラアミノサルチル酸)がなくなり、治療継続が難しくなることが予想される。

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