ウズベキスタン:中央アジア地域の結核治療拡大に向けたシンポジウムを共催──「行動開始は急務」で合意

2011年05月10日掲載

2011年4月14日と15日の両日、100人を超える結核専門家がウズベキスタンの首都タシケントに集い、中央アジア地域における結核治療の拡大に関する過去の経験と今後の課題について議論を交わした。会議の結論として、緊急に対策を始める必要があるという点ですべての参加者の認識は一致した。

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新たな治療モデルや各国の取り組みを紹介

多くの結核専門家が集まり開催されたシンポジウム。 多くの結核専門家が集まり開催されたシンポジウム。

国境なき医師団(MSF)とウズベキスタン保健省が主催したこのシンポジウム「中央アジアの結核治療拡大に向けた団結」には、中央アジア地域全体からさまざまな立場の関係者が集まり、結核と多剤耐性結核(MDR-TB)の治療に関するこれまでの経験と課題や、この病気の診断と治療の提供範囲を広げていく必要性について話し合った。各国の保健省、国際機関、大学・研究機関から100人を超える参加者が集まり、中央アジアと周辺諸国における結核とMDR-TBの治療規模拡大に向けて、それぞれの取り組みの経験を共有し、今後の課題や優良事例について議論を交わした。

MSFの上級結核専門医フィリップ・デュ・クロは語る。
「シンポジウムの参加者はみな、中央アジア地域で高まりつつある結核、そして特に薬剤耐性結核(DR-TB)の脅威に立ち向かうため、緊急に治療規模を拡大する必要があると考えていました。この規模拡大を可能にする大きな前提条件の1つになるのが、世界保健機関(WHO)が推奨している外来治療モデルの受け入れを実現し、入院による治療を重症患者のみに限定することです。外来治療モデルがシンポジウム参加者の間に広く受け入れられていることが分かり、よかったと思いました」

ウズベキスタン保健省はシンポジウムの開会スピーチで、最近ウズベキスタンが実施を開始した結核国家戦略について紹介した。この戦略は、結核の予防と早期診断および治療に関する対策、既存の結核治療施設の最適化と新たな施設の建設、医師と看護師向けの訓練と再訓練のコースなど、広範囲の活動を予定している。一方、タジキスタン医科大学からの参加者は、タジキスタンの国内市場での結核治療薬の自由販売を禁じる法律改正について発表した。また、カザフスタンの国立結核センターからの参加者は、新たな資金調達と能力開発の方法を可能にする公的医療制度全体の改革と、すべてのレベル、すべての関係者を巻き込んでの政治的取り組みが必要であり、それは結核治療分野への予算配分に明確に反映されるべきだと強く訴えた。

早期の結核診断と治療の普及に向け対策が急務

活発な意見交換が行われた。 活発な意見交換が行われた。

デュ・クロは続ける。「明らかに現在は、結核治療が勢いを得て大きく進展しているところです。それでも結核は非常に複雑な病気であり、まだまだ道半ばです。このシンポジウムの大きな成果の1つは、だれもが早期の診断と治療を必要としており、その対策は緊急に講じられる必要があると、参加者全員の合意が得られたことです」。また、小児結核や刑務所における結核治療についてのいくつかの発表を通して、子ども、移民、囚人、結核とHIVの二重感染者など、診断と治療の継続に困難の多い患者グループを含め、"完全にだれもが"利用できる診断と治療の必要があることが明確になった。

シンポジウムの終了後、ウズベキスタン保健省の主任結核医ナルギーザ・パルピエヴァ教授はこう締めくくった。
「この会議は、……(中略)……いわば"誘発剤"のように、今後この2日間に協議された現存の問題について私たちが真剣に考える契機になるでしょう。たった2日間で多くを議論することができ、しかも、これらの議論が非常に興味深い内容であったという点は重要です。ウズベキスタンは自らに大きな責務を課しました。そして、積極的にその責務を果たしていく決意があります。私たちは、結核の診断と治療の拡大を進めます」

結核と薬剤耐性結核(DR-TB)は世界中で健康への脅威となっている。この病気のために毎年約180万人が命を落としており、結核とDR-TBの罹患率が高い中央アジア地域でも大きな問題になっている。薬剤耐性の正確な診断法が普及していない地域はいまも多い。そのため、結核感染者の多くは結核であるとの診断が下りず、治療も受けられないままとなっている。

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