リビア、イエメン、バーレーン、シリア、チュニジア、エジプト:政変に伴う情勢不安の中、医療援助を継続

2011年03月24日掲載

中東や北アフリカ諸国でデモや武力衝突が起きて以来、国境なき医師団(MSF)は、医療スタッフが負傷者の急増に直面している病院および医療施設に向けて医療物資を提供し、支援してきた。また、周辺国へ避難する人びとの援助にあたっている。

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リビア国内での活動は不可能に。物資の供給を継続

リビア国内の紛争地域における医療ニーズに対応するため、MSFは入国の実現に向けて努力を続けているが、現在はリビア国内で活動することができないでいる。先週、ベンガジ市に拠点を置いて活動していたチームは、戦闘が身近に迫り、リビア東部の移動がさらに危険になったことから、退避を余儀なくされた。エジプトのアレクサンドリアでは、MSFのスタッフ9人が包帯・縫合用物資、負傷者を治療するための医療キット、外科具など、国境をはさんで緊急医療物資を届けている。また、リビア人医師から医療ニーズとして挙げられた糖尿病、高血圧、心臓病などの慢性疾患の治療薬を含む医薬品も供給している。これまで33tの物資を寄贈した。

MSFの手術室看護師1人が、リビア国内のアジダービヤ病院に1晩留まり、10件の手術と1件の双子の出産を介助した。しかし、現在はリビアの医療施設でMSFスタッフがこうした活動を行うことは不可能になっている。調査もできないことから、MSFが国内のニーズを明確に把握するのは極めて難しい。

MSFはチュニジアからリビアに入国することも試みている。しかし、2月23日から努力を重ねているにもかかわらず、チームには国境を越える許可が下りていない。西側の国境からも、紛争で影響を受けた地域にある医療施設への医療キットと医薬品を提供している。3月21日には、ミスラタに負傷者150人を治療できる外科手術キット2組が到着し、病院へ搬入された。

リビア国外へ逃れた人びとを周辺国で援助

チュニジアでは、リビアとの国境付近でMSFのスタッフ25人からなるチームが紛争から逃れて来た人びとのケアにあたっている。さまざまなレベルや種類の暴力にさらされるか、あるいは目撃し、現在は将来の不安定さに直面している人びとへの心理ケアを提供するため、入国地点のラスジェディールと、国境から7kmの地点に位置し、再定住または本国への帰還を待つ6000人を受け入れているチョウチャ一時避難キャンプにテントを設営した。ラスジェディールから150km離れたデヒバでも、同様の援助を続けている。これら3つの活動地で、MSFの心理療法士は個別カウンセリングとグループ・セッションを行い、これまで4062人がケアを受けている。MSFのテント1ヵ所では合計501人の難民と外国人労働者が個別カウンセリングを受け、チョウチャキャンプでは心理療法士が323回のグループ・セッションを行った。

人びとはニジェールにも逃れている。3月11日から15日までに、1309人がディルクに到着した。MSFはアガデズに到着した人びとに医療を提供している。

イタリアのランペドゥーサ島では、医師、看護師、ロジスティシャン(物資調達、施設・機材・車両管理など幅広い業務を担当)、文化的仲介者の4人からなるMSFチームが、現地当局と協力して外国人労働者の医療ニーズを調査し、医療を提供している。最近の数週間で約5400人が到着したが、その大半がチュニジアから来ており、健康状態は良好である。しかし、生活状況は悲惨である。受け入れられる施設は過密状態であり、衛生設備もない。チームは今週末までに外国人労働者に救援物資を配布する予定である。

緊張が続く中東諸国で、緊急援助と通常の活動を実施

1月にイエメンで反政府デモが起きて以来、MSFはイエメン国内の動向を注意深く見守ってきた。チームはサヌア市、アデン、タエズでイエメン当局と反政府組織の立ち上げた医事委員会と連絡を取っている。最近の数週間、MSFはこれら3ヵ所で医療物資の寄贈と医療施設での医療従事者の研修を行ってきた。現在、保健省の運営する病院と反政府組織の設立した野戦病院はいずれも増大したニーズと負傷者の来院に対応できている。MSFは、公平で中立なニーズ調査の結果、さらなるニーズの存在が明らかになれば、救援活動を拡大することにしている。

MSFは国内の各地域における通常の医療活動も継続している。北部では、サアダ州の住民および避難民、また近隣のハッジャ、アムラン各州においても、外科を含む医療を提供している。南部では、ラヘジ州のデモで被害を受けた人びとのニーズに対応するため、ラドファン行政区の公立病院を支援している。また、首都サナアでのHIV/エイズの治療、およびHIV/エイズに対する偏見をなくす活動の改善に向けて保健省当局と連携を始めている。

バーレーンでは、多数の医療施設と連絡を取り、必要に応じて援助できるよう準備している。今年はじめ、MSFのある調査チームが国内の医療団体と連絡を取り、首都マナーマにあるサレイマニヤ病院を数回訪問して支援した。

MSFは数日前にダラー市でデモが起きたシリアの状況も注視している。2009年以来、MSFはダマスカスで現地の団体と共に活動し、難民として登録を受けていないイラク人難民、外国人労働者、および弱い立場に置かれた市民に向けて、無償の医療と心理ケアを担っている。

アルジェリアでは、MSFの調査チームが3月上旬に保健省とNGOに連絡を取った。その目的は、国内でデモによる暴力が起きた場合に支援する可能性について確認することであった。今のところ、MSFの支援は必要ないもようである。

チュニジア、エジプトの政変に伴う初期対応

チュニジアとエジプトでデモが起きたときには、MSFは既存の医療施設を支援した。1月には反政府デモによって医療物資の備蓄が奪われ、ニーズに対応するための物資が不足していたチュニジアのカセリーヌとシディブジッドの病院に、整形外科物資を含む医療物資を寄贈した。

エジプトの首都カイロにあるタハリール広場で反政府デモが起きた際には、MSFは病院2ヵ所とモスク内に緊急に設置した診療所1ヵ所に医療物資を提供した。またチームは、短期間に多数の負傷者が来院した場合の対処法に関して研修を行い、緊急事態への付加的な対応システムの設定を支援した。

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