サモア、インドネシア、フィリピン:天災の被災者に心理ケアを提供(10月8日現在)

2009年10月13日掲載

インドネシアのパダン・アレイ付近にて、被災者と話すMSFの心理療法士。 インドネシアのパダン・アレイ付近にて、
被災者と話すMSFの心理療法士。

数回にわたり自然災害に見舞われた東アジア・南太平洋地区で現在医療・救援活動を行っている国境なき医師団(MSF)チームは、心理ケアを活動に組み入れることを決定。各国で起きた災害から1週間以上経った今、チームは心理・社会的支援を直接行うとともに、現地カウンセラーを対象とした研修を開始した。

木曜日の朝、南太平洋のバヌアツで地震が発生し、津波警報が発令されたとき、さらなる惨事が危惧された。幸い被害はほとんどなかったが、いくつかの島では住民がパニック状態に陥った。

サモア諸島では、住民の一部が再び高台に避難した。137人の命が奪われ、多くの家屋が倒壊したのは、地震と津波が起きたあとの1週間だったからである。

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サモア:地元相談員による心理ケアの準備

インドネシア、パリアマン市付近の村での移動診療で、負傷者の手当てをする。 インドネシア、パリアマン市付近の村での
移動診療で、負傷者の手当てをする。

「人びとは明らかに心的外傷を負っています」
MSFの緊急対応コーディネーター、ヴェロニク・ドゥ・クラークは、サモアの南海岸を襲った津波で最も被害を受けた地域を数日間かけて調査した後で、このように話している。

「彼らはすべての財産を失いました。中には多くの身内を亡くした人もいます。13人の家族を失った世帯もありました。人びとは犠牲者を悼み、身内や友人を埋葬する時間を必要としていますが、おそらく2~3日後には心理ケアを受けられるでしょう」

心理・社会的支援は、森における移動診療でも、すでに始まっている。「ほかの人を助けたいと手を挙げるサモア人のボランティアがたくさんいます。すばらしいことです。ただ、自然災害を受けた人やその遺族が必要とするケアに対応するには経験も必要なのです」

10月の第3週からMSFの心理療法士が、サモア人相談員チームを対象とした研修を行う準備が進んでいる。これらの相談員は、心理・社会的支援を行えるようになるだけでなく、より専門的な心理ケアが必要な人を特定し、心理療法士に紹介できるようになる予定である。

インドネシア:多くの被災者が遺体のないまま死者を悼む

フィリピンのシミロアン避難所にて、打ち合わせを行うMSFスタッフ。 フィリピンのシミロアン避難所にて、
打ち合わせを行うMSFスタッフ。

インドネシアでは地震の後、多くの人が行方不明となり、地震発生から時間が経過した今、生存者が発見される可能性はほとんどなくなった。しかし、今もがれきに埋もれている家族の遺体を待っている人はいる。MSFのマレーシア人心理療法士マーリン・リーは、最も被害の大きかった地域の住民に対し、心理ケアを提供している。リーは語る。

「10月6日、私たちはパリアマン市北部の丘陵地帯にあり、最も大きな被害を受けた地域の一つ、タンディカットに赴きました。いくつかの村が地すべりによって破壊されていました。家族を失った人は遺体が発見されるのを、そこで待っているのです」

しかし、道路の大部分が破壊されているため、がれきの中で遺体を探すために必要な重機を運び入れることは、非常に困難な状況である。

「毎朝、彼らは現場に行って、捜索隊が家族の遺体を発見してくれるのを待つのです。できるだけ早く、正式な形で死者を埋葬してあげることが、とても大事なのです。こうした人びとの多くは今、非常に難しい状況にあります。多くは震災による精神的な衝撃が続いており、家族を失った悲しみに暮れています。長いこと睡眠をとっておらず、食欲を失い、心配事も多く、将来どのようにしていけばよいのかわからず、答えのない問いをたくさん抱えています」

フィリピン:住環境はいまだ困難な状態が続く

フィリピンのパシグ市避難所で遊ぶ子どもたち。今も避難生活が続いている。 フィリピンのパシグ市避難所で遊ぶ子どもたち。
今も避難生活が続いている。

適切な援助をまだ受けられていないか、困難な住環境下で生活している人びとは、生活面において差し迫った問題に直面している。数千人が今も避難所で寝泊りしているほか、今も冠水している地域があることから、一部の人は帰宅できるようになるまで数週間待たなければならない。

ある一家の父親はパシグ市内にある避難所で、このように語った。

「私たちはいまも廊下で生活しています。うるさく、風が強いです……。家族向きの場所ではありません」

彼の隣では、自宅が損壊したため神経質になっている女性がいた。
「どうしたらいいかわかりません……。すべてを失いました」

最も弱い立場に立たされている人びとに対して、MSFは基礎的な医療および心理ケアの提供や救援物資の配布、冠水のため給排水システムが機能していない事態を補うため、水・衛生活動に従事している。

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