ニカラグア :シャーガス病対策プログラムを終了し、地元の組織へ引き継ぐ

2005年06月28日掲載

国境なき医師団(MSF)は、ニカラグアにおけるシャーガス病対策プログラムを終了し、同国での22年にわたる活動に終止符を打った。ニカラグア保健省の10ヵ年計画にシャーガス病対策が含められたこと、またMSFが活動してきた2つの地域の1つで感染率が低下したことにより、保健省への支援を継続する必要はなくなったと判断した。一方、ボリビアとグアテマラにおけるシャーガス病の治療プログラムは継続していく。シャーガス病は、サシガメや南京虫によって媒介される寄生虫が引き起こす病気で、中南米で毎年約5万人の命を奪っている。

MSFはエスキプラスとトトガルパの2つの地域で、ニカラグア保健省を支援し、シャーガス病の予防、患者の発見、治療を行ってきた。MSFチームの知識と経験は、5月に行われたシンポジウムと、小冊子「これまでに得られた教訓」(英・スペイン語)の出版により、地元の保健機関、NGO、その他の関係組織に伝えられた。

シャーガス病に感染するのは、貧しい人々がほとんどである。中南米の農村部で見られる、干し草と泥でできた小屋の壁や屋根に媒介昆虫が生息しているからである。貧しい人々の病気であるため、製薬会社の研究開発部門の関心をひくことはない。その結果、医療従事者は、時代遅れで効き目のない薬で患者を治療するほかない。それらの薬は、慢性期の致命的になった段階では、寄生虫を殺すことができない。また、いくつかの種類の寄生虫に対してはまったく効力がなく、深刻な副作用を引き起こすことも多い。

MSFの活動は、エスキプラスでは2年、トトガルパでは7ヵ月にわたって運営された。包括的な取り組み方が採用され、専門家で構成されたチームは、感染の検査と治療において画期的な業績をあげるとともに、媒介昆虫の駆除や殺虫にも取り組んできた。さらにニカラグアにおける活動は、顧みられない病気を政府や製薬企業が取り組むべき重要課題とするためのキャンペーンに大きく貢献してきた。

MSFの活動により、貴重な遺産がもたらされた。シャーガス病が政府の10ヵ年計画に含まれたことは、感染の抑制に向けた重要な一歩である。また地方機関である「農村部住宅公団(Instituto de la Vivienda Rural)」は、シンポジウムをきっかけに、治療中の子どもが再感染するリスクを最小化するため、感染が深刻な地域の500世帯の住環境を改善することを決めた。さらに、MSFチームにより、多数の人の感染を迅速に調べる新しい方法が導入された。

関連情報