モルドバ:沿ドニエストル地域で初のHIV/エイズ診療所を開設

2007年08月14日掲載

国境なき医師団(MSF)は8月8日(水)、モルドバの沿ドニエストル地域で正式にHIV/エイズ患者向けの治療を開始した。この地域では、1990年にロシア系住民が「沿ドニエストル共和国」を宣言し、モルドバからの分離独立を目指したが、国際的には承認されていない。

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MSFは外来病棟が完成する前から患者の登録を始めており、医師・看護師らはモルドバ保健省の医師と協力して、わずか1ヵ月の間に90人以上のHIV陽性患者の診察を行った。このうち26人が延命治療である抗レトロウイルス(ARV)治療を開始した。

沿ドニエストル地域に開設したHIV/エイズ患者向け外来病棟の看板 沿ドニエストル地域に開設したHIV/エイズ患者向け外来病棟の看板

MSFの同地域における活動責任者、マーク・ウォルシュは公式な開設式典の席で述べた。「ここで活動するMSFの医師と、首都キシチョフでHIV/エイズの治療にあたるモルドバの医師らの間には仲間意識や情報の共有といった感覚が育っており、見通しは明るいと言えます。しかしながら、道のりは長いのです。モルドバ当局は、諸外国から提供された全てのHIV/エイズ向けの基金の恩恵を、人びとが公平に受けられるよう責任を持つべきです。さらに、援助提供国が使途やプログラムを指定して独立した団体に資金を提供するようにならなければ、人びとの健康は今後も危険にさらされ続けるでしょう。」

沿ドニエストル地域は国際的に孤立しているため、同地域の医療システムにはモルドバ政府の保健基金が充てられておらず、住民はとりわけARV治療薬などの医薬品の入手を阻まれている。モルドバは分離独立地域を含む国民全員を対象とするHIV/エイズ対策基金を受け取っているにも関わらず、公式統計によると沿ドニエストル地域のHIV感染率はモルドバの4倍にものぼる。

MSFのプログラムに参加するロニー・カンパル医師は語る。「未解決の政治的な問題に関係なく、沿ドニエストル地域の人びとも、モルドバの他の地域の人びとと同様に質の高いHIV/エイズ治療を受けられるべきです。私たちは、沿ドニエストル地域において、約50万の人口のうち1000~1500人がHIVに感染していると推定しています。ARV治療が適切に行われれば、患者の命を延ばすことができるのです。」

開設式典には分離独立派のイゴール・スミルノフ沿ドニエストル共和国大統領、モルドバのイワン・トカチェンコ沿ドニエストル地域保健大臣、そして同地域内外のHIV/エイズ患者団体の代表者など、多くの人びとが出席した。

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