アブハジア :紛争後、継続する経済封鎖の影で

2003年06月18日掲載

コーカサス地方にあるアブハジア(※)は、北はロシア、西は黒海、そして東はグルジアに囲まれた自治共和国である。グルジア共和国からの分離独立を求めて起きた10年前の紛争はこの国に大きな打撃を与えた。現在も隣国からの経済封鎖により国は麻痺し、経済発展も妨げられており、国際社会からも完全に忘れられた存在となっている。

1992年7月から1994年5月まで続いた戦争は約1万人もの死者を出し、それまでアブハジアに住んでいた24万人のグルジア人はグルジアへの避難を余儀なくされた。それ以来アブハジアはグルジア・ロシア両国から経済封鎖を受けている。国を離れる手立てのない大部分の国民は、貧困の中で将来の見通しも立たず、援助団体からのわずかな援助を頼って生きている。

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MSFの活動

国境なき医師団(MSF)は1993年以来アブハジアで貧しい人々に医療を提供してきた。対象は一人暮らしの老人や体が不自由な人、寝たきりの人、収入のない母親、慢性疾患の患者、何の支援も受けられない少数民族、問題を抱えた多くの家族である。

定期的に医薬品の供給を行うほか、MSFは首都スフミのプシュキン無料診療所を修復・運営を開始した。この診療所では医師2名と薬剤師1名、事務員1名が働いており、訪れる貧しい人々に医療を施すほか、彼らの話に耳を傾けたり、医薬品を無料で提供していた。そして彼らは多くの場合MSFのソーシャルワーカーによる指導も受けていた。1999年にはガグラ、クワチェリ、ガリに同様の施設を建て、赤十字国際委員会(ICRC)から食糧配給を受けていた人々に対する医療援助を開始した。

また2000年春、ソーシャルワーカー1名がガグラで、次いで同年12月からは10名以上のソーシャルワーカーが国内の7地方で活動を開始し、医療を受けることのできない人々の状況を調査、確認した。そしてこれらの人々には、MSFが支援する保健施設で無料で手当を受けることができるカードを手渡した。カードを配る対象者のリストを作る際には、ICRCが作成したものと照らし合わせて確認した。このような団体間の情報交換は以後継続的に行われている。

2002年9月、MSFとICRCは厳しい状況で暮らす1万8700人以上を援助対象者として登録した。この数はアブハジアの全人口の10分の1にあたり、このうち39%は首都スフミの住民である。1400人以上は外出することなどができない人々で、その多くは寝たきりで外部からの援助なしでは生きていけない人々である。

緊急の支援を現在、この1万8千人以上の人々の食糧及び医療面を支えているのはMSFとICRCのみである。しかし両者がいかに密接に協力し活動を進めたとしても、経済的貧困と心理的な苦しみの中で生きる人々が必要とするもの全てを満たすことは不可能だ。暖房器具もなく、衣服も足りない上に不衛生な家での暮らしは彼らの健康状態を一層悪化させている。

貧窮の中で生きるアブハジアの人々は緊急の援助を必要としている。MSFはアブハジアで活動する数少ない団体のひとつとして、医療や住居、食糧面において一刻も早い支援の必要性を訴えている。

  • アブハジアは国際社会の中ではグルジア共和国の一部として位置付けられている。

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