流行から1ヵ月、エボラ出血熱の対応は正念場に

2018年09月13日掲載

患者に食事を配膳した後にも、手洗いと洗浄を徹底患者に食事を配膳した後にも、手洗いと洗浄を徹底

コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の北東部、北キブ州でエボラ出血熱の対応を開始して1ヵ月、国境なき医師団(MSF)は、エボラ感染が確認された患者(確定例)65人を治療した。今回の流行でこれまでにエボラ治療センターに入院した確定例の80%に当たる。マンギナのエボラ治療センターでは、陽性反応が出たエボラ確定例のうち29人が回復して退院。3人の確定例と2人の疑い例が治療中だ。 

新たな経路から新規症例も

コンゴ保健省の看護師へのトレーニングコンゴ保健省の看護師へのトレーニング

 ベニでMSFの緊急対応コーディネーターを務めるベランジェレ・ゲは「今が、流行対応の踏ん張りどころです」と語る。「エボラ治療センターにいる患者数はかなり減りましたが、ここ数日間で新たな感染経路から新しい症例が見つかっています。地域の人びとと信頼関係を築き、エボラの症状が出た人はみな、隔離して早急に検査していくことが不可欠です。流行の終息宣言が出されるまでは、気が抜けません」

8月1日、北キブ州では初のエボラ流行宣言が出た。その前夜、ルベロにある病院で活動していたMSFチームは流行の中心地マンギナに到着。コンゴ保健省とともに、すぐに対応を開始した。その後数日間で、経験豊富なMSFスタッフがコンゴ国内外から現地に入り、現地スタッフを訓練。ともに患者の治療と流行のまん延阻止に努めた。

MSFのコンゴ緊急対応チームのパシャン・カマヴは経験豊富な看護師で、8月3日に現地入りした。「すぐに行動しなければならないのは分かっていました。現地に着いたとき、マンギナにある地元の診療所は大混乱に陥っていました。医療スタッフが病気になり、患者の数も日を追うごとに増えていました。ベストを尽くしていましたが、新患から疑い例に至るまで、一つの病棟でひしめきあっていました。状況を改善するためすぐに仕事にかかりました」

 8月6日までに、マンギナ診療所の隔離室を安全性の高いものに改善し、疑い例と確定例を適切に受け入れられるようにした。ベニの総合拠点病院内にも同様の隔離室を建設。マンギナではエボラ治療センターの建設を開始し、8月14日に開院した。パシャンは続ける。「患者のケアと同時に、ロジスティクスと給排水・衛生活動チームが昼夜を通じて業務にあたり、患者を安全な方法で治療できるようにしたのです。たった1日でまるで違う病院になっていて、素晴らしかったです」

新しい治療薬の投与を開始

回復した患者が退院し、笑顔で送り出す回復した患者が退院し、笑顔で送り出す

 今回の流行で、MSFはエボラ感染が確認された患者にコンパッショネート・ユース(※)のガイドラインに則って新しい治療薬を勧めている。治療薬は患者か、患者が幼い場合や重症の場合は家族にインフォームド・コンセントを行い、水分補給と、下痢や嘔吐に対する支持療法に加えて投与された。なお、MSFは全ての患者に支持療法を行っている。

※人道的配慮から、生死に関わる病気の患者に対し、販売承認に先立って未認可薬の使用を認める制度

パシャンは、「本当にほっとしています。ようやく、支持療法だけではない治療を患者に提示できるようになったのですから。統計でみると、エボラ患者の生存率はこれまでのところ50%未満にとどまっています。でも家族と地域にとっては衝撃的で、恐ろしいものです」と語っている。

早期発見・早期隔離が重要

マンギナの診療所を除染・消毒するMSFスタッフマンギナの診療所を除染・消毒するMSFスタッフ

 エボラ治療センターの外では、MSFはベニとマンギナ地域、イトゥリ州のマンバサとマケケで医療施設を訪問し、スタッフを訓練して適切にエボラ疑い例のトリアージ※を行えるようにしている。そのほか、防護用品を寄贈するとともに、隔離区域を設置して、救急車が来るまでの間、感染の疑われる患者が治療を受けられるようにした。陽性患者が来院したマンギナとベニの診療所では除染・消毒が進んでいる。また、マケケとビヤカト地域では症例に対応する医療関係者などに集団予防接種をする許可も得た。

※重症度、緊急度などによって治療の優先順位を決めること

緊急対応コーディネーターのベランジェレ・ゲは、「今回の流行で、残念ながらこれまでに少なくとも17人の医療従事者がエボラに感染しています。患者のケアを担う医療スタッフは、マラリアや肺炎の患者、出産にも対応していますから、厳格なトリアージでエボラ疑い患者を病院に入る前に発見・隔離することが必要です。そうすれば、医療従事者だけでなく、ケアを受ける患者や医療施設から感染することがなくなります」と語っている。

エボラ流行に緊急対応中
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