人生を取り戻すために——紛争地の患者に寄り添うリハビリ治療

2018年09月20日

紫色のユニフォームは、理学療法士のトレードマーク。後遺症が残らないよう、術後すぐにリハビリを始める紫色のユニフォームは、理学療法士のトレードマーク。後遺症が残らないよう、術後すぐにリハビリを始める

情勢不安が続く中央アフリカ共和国(以下、中央アフリカ)。国境なき医師団(MSF)は、戦闘による負傷者への外科治療を含む大規模な医療援助を続けている。

治療によって一命をとりとめることができたとしても、患者は体の一部の機能を失い、後遺症が残ることも。障害によって行動が奪われれば、その後の生活でさまざまな困難に直面することになる。

MSFが首都バンギで運営するシカ病院では、リハビリテーション医療や心のケアを行い、術後ケアに取り組んでいる。5人編成の理学療法チームが目指すもの——それは、患者ができる限り早く、元の人生を取り戻すことだ。傷を負った人びとが一日も早く社会復帰できるように、理学療法士たちは最善を尽くしている。 

ギプスをあて、包帯を巻き、マッサージする……だけでなく、患者の声に耳を傾け、励ますことも治療のうち。セッションを通して、親密な関係を築いていく。患者は理学療法のプロセスを通じて自身の体と向き合い、受け入れていく。 

体の動きを回復させる訓練には、バランスボールやウェイトなどが役立つ。自宅で毎日できる簡単なエクササイズを取り入れることが、短期間でリハビリの効果を上げるための鍵となる。 

患者の75%は、交通事故での骨折や武器による負傷で来院する。そのほとんどが重症で複雑なケースだ。創外固定※や、切断が必要な場合も多い。MSFが現在提供している義肢は下肢のみだが、2019年までには上肢への導入も目指している。

  • 骨片に金属製のピンを刺入し、金属のピン同士を皮膚の外で固定する方法

整形手術や内臓手術の後、回復するまでには数ヵ月から数年かかる。治療途中の患者に寄り添うため、MSFは理学療法と同時に、必要に応じて心理ケアを行うこともある。 

シカ病院の理学療法チームは週平均150件を診療し、経過観察の外来患者を週100人以上受け入れている。2018年1~6月は新患738人を治療し、理学療法セッション6500回を実施した。 

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