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コンゴ民主共和国: 85%が必要な治療を受けられない―HIV/エイズ患者を取り巻く深刻な事態

2012年01月27日掲載

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コンゴ民主共和国(以下、「コンゴ」)のHIV/エイズ患者がおかれる境遇、コンゴ保健当局の危機意識の欠如、そして国際援助の後退……開発途上国におけるHIV/エイズ対策が直面する危機の中でも、特に深刻なコンゴの状況に、国境なき医師団(MSF)は強い危惧を抱いている。1月28日の「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」創立10周年を前に、コンゴのHIV/エイズ危機を伝える。

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キンシャサのカビンダ医療センターで治療を受ける患者は、重篤なエイズで衰弱していた。
キンシャサのカビンダ医療センターで治療を受ける患者は、重篤なエイズで衰弱していた。

 

予防できるはずの重症患者

コンゴでHIV/エイズを抱えて生きる人びとの治療を取り巻く環境は劣悪だ。首都キンシャサのカビンダ医療センターで活動するMSFは、十分な治療が受けられず重篤な合併症を起こした患者の数が非常に多いことを目の当たりにしている。病気の進行は患者たちに耐えがたい苦痛をもたらす。

コンゴにおけるMSFの医療コーディネーター、アニャ・デ・ヴェッヘレイルは次のように述べている。

「私はアフリカ中南部の多くの国でHIV陽性患者を診てきましたが、コンゴのような状況は数年来、ほかの国で目にしたことがありません。この国の現状は、抗レトロウイルス薬(ARV)治療のなかった時代を思い出させます。MSFの医師たちが毎日診察している重篤な合併症は、早期にARV治療を受けてさえいれば、予防できるものです」

85%がARV治療を受けられない

MSFはカビンダ医療センターでエイズ対策プログラムを運営している。
MSFはカビンダ医療センターでエイズ対策プログラムを運営
している。

コンゴのHIV陽性患者数は現在、100万人を超えると推定され、そのうち35万人がARV治療を必要としているが、目下、治療を受けているのは4万4000人程度、つまり15%に過ぎない。世界でも最低レベルの普及率であり、アフリカ全土でも同様の数値を示す国はソマリアとスーダンしかない。

コンゴはHIVの母子感染予防についても、アフリカ西南部で最も立ち遅れている2つの国の一角である。HIV陽性と診断された妊婦のうち、母子感染予防治療を受ける機会に恵まれるのは、わずか1%に過ぎない。治療をしなければ、胎内でウイルスに暴露された子どもの約3人に1人がHIVに感染した状態で産まれることになる。

対策不足で1万5000人の命が危機に

治療を受ける28歳の女性イルシルとその息子。
治療を受ける28歳の女性イルシルと
その息子。

これらの深刻な数字にもかかわらず、国際援助を提供する側はコンゴの現状に緊急性を認めていない。さらに、世界基金のような国際援助機関が、資金援助を取りやめるか、その規模を大幅に縮減しているという深刻な現状もある。世界基金はコンゴにおけるARVの主要な提供者だが、同基金に資金を拠出している国々が約束どおりの金額を出資していないため、援助目標の下方修正を余儀なくされているのだ。

こうした資金援助の減退はそのまま、コンゴの多くの人命にとって脅威となる。デ・ヴェッヘレイルは警鐘を鳴らす。
「対策を講じなければ、いま待機リストに載っている1万5000人の、すぐにもARVが必要な患者たちは、3年以内に亡くなってしまう可能性が非常に高いのです。それだけでも恐ろしい数字ですが、この国でHIV/エイズとともに生きる人びとの大半が自身の感染に気がついていないことを考えれば、それも氷山の一角に過ぎません。多くの人が声もあげず、顧みられることもなく亡くなっていくことになります」

コンゴの保健当局が、無償の感染予防対策と患者の治療を行うという責務を果たすことも肝要だが、同時に、各援助国政府にも、ARV治療を待つ患者が死に追いやられることのないよう、必要とされる資金をただちに拠出することが求められている。

MSFはコンゴ民主共和国で30年以上にわたって活動している。1996年以降はHIV/エイズ対策プログラムも運営しており、2003年10月に初めて無償のARV治療を開始した団体となった。MSFは、複数の医療援助プログラムと、キンシャサにおけるエイズ対策プログラムを通じて、6州で合計5000人以上の患者を治療している。この人数はコンゴ国内でARV治療を受けている全患者数の10%以上に相当し、キンシャサではARV治療を受ける患者のうち20%をMSFが治療している。

コンゴのHIV/エイズ患者を取り巻く非常に深刻な状況に対する認識を高め、抗レトロウイルス薬治療の普及率向上を各方面に呼びかけるため、MSFは2012年1月25日、同年末まで継続予定の広報・対策推進キャンペーンを開始した。

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