ニジェール:栄養失調の予防治療を開始
2010年09月09日掲載

上腕の太さが120mmしかない、中度の栄養失調に陥った子
ども。ニジェール、2010年7月撮影
10月16日の「世界食糧デー」を前に、国境なき医師団(MSF)はアフリカのニジェールで、予防に着目した新しい栄養治療を開始した。MSFは7月以降、栄養失調を未然に防ぐため、医学的に効果が証明されている栄養補助食を14万3000人以上の乳幼児に配布している。
予防治療による栄養失調対策を推進させることは、結果的に多くの命を救うだけではなく、医療、物資輸送、財政面での負担軽減にもつながる。また、MSFは現地NGOと提携し、69ヵ所の栄養治療センターでこれまでに重度の栄養失調の子ども7万7000人を治療した。
国連開発計画(UNDP)発表の「人間開発指数」で最下位に位置付けられているニジェールでは、毎年5月から9月にかけて栄養失調がピークに達する。しかし、2010年の栄養危機は規模が大きく、例年に増して深刻な状態にある。栄養治療の現場では、すでに栄養失調に陥り、生命の危機にさらされている小児患者を救う活動が主だが、ニジェールのように繰り返し起きる栄養失調への対策には、質の高い予防措置を定期的に実施し栄養治療対策に組み込むことが必要である。
ニジェールにおけるMSFの活動責任者、パトリック・バルビエは語る。
「治療を要する重度栄養失調児の数は膨大で、保健省の医療施設に負担がかかりすぎています。来院する小児患者の多くは非常に衰弱した状態にあり、最も楽観的な予測に基づいてさえ、死亡率が3~4%と今も高い状態です。このため、治療に加えて栄養失調の予防が重要になります」
予防療法に使用される栄養補助食は常温での長期保存が可能な上、調理が必要ないことから家庭でも簡単に取り扱うことができる。粉ミルク、砂糖、植物性油脂等を主原料とする甘いピーナッツバター風味の栄養補助食には、乳幼児に必要な栄養素であるビタミンやミネラルが含まれている。
2009年4月のオンライン医学ジャーナル『PLoS』には、栄養補助食の配給を行った場合、重度の栄養失調の発生率は、配給がなかった年に比べて半減することを証明する調査論文が掲載されており、その医学的効果も実証されている。
栄養治療食の配布計画はニジェール政府と世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(ユニセフ)との間で調整済みであり、これまでにニジェールの団体と連携して5つの地区で配布が行われた。
MSFは、現地の複数のNGOと連携し、タウア県、マラディ県、ザンデール県で栄養治療センター59ヵ所と集中栄養治療センター9ヵ所を支援している。2010年初頭からニジェール国内で治療を受けた17万人のうち、入院した重度栄養失調児は7万7000人以上にのぼる。MSFはアガデス県を含めたこれらの地域にある診療所と小児病院で、乳幼児の患者に対し、無償で医療を提供している。
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